2011 Fiscal Year Research-status Report
計算量的に独立な一方向性関数の構成と暗号プロトコルへの応用に関する研究
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23650008
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
櫻井 幸一 九州大学, システム情報科学研究科(研究院, 教授 (60264066)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 暗号理論 / 一方向性関数 / 擬似乱数生成 / 計算理論 / Diffie-Hellmann問題 / 暗号プロトコル / 堅固性 |
Research Abstract |
研究対象である計算量的な独立な関数の対に関して、具体的関数を数論的仮定のもとで構成する事に成功した。 独立性の証明には、平方Diffie-Hellmann問題の困難性が通常のDH問題のそれと同等であることを利用した。この結果は、2011年暗号と情報セキュリティシンポジウムで発表した。この成果を、複数の海外の研究者に紹介した。特にシンガポール国立大学での講演の際に、客員教授として滞在していたYunlei Zhao(復担大学, 中国)からは、彼自身の暗号プトコル研究の一部に、類似の概念に相当する関数を利用していること、さらに関数の堅固性(non-malleable)という視点からもっと一般的な形での定式化をすすめられた。他の具体的な構成に関しては、多変数多項式を利用する手法などを検討した。特に安全性の理論的証明が与えらているQUADと呼ばれている多変数多項式に基づくストリム暗号の構成に着眼した。暗号プロトコルの堅固性に注意し、利用されるビット委託関数の堅固性や計算量的に独立な関数との関係の調査に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計算量的に独立な関数対の具体形的を数論的仮定のもとで構成する事に成功し、本研究の第一目標は達成した。関数の堅固性(non-malleable)という視点からもっと一般的な形での定義を与えるという新しい視点での課題に着手した。同時に、このコメントをくれた海外研究者との共同研究を始めるきっかけを作ることにも成功した。他の手法をもちいた関数の構成に関しては検討中である。暗号プロトコルへの応用に関しては、独立性よりも、もっと広く研究されている堅固性に着目しての調査を行い、より一般的な暗号論的性質と比較する方向である。
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Strategy for Future Research Activity |
2011年暗号と情報セキュリティシンポジウムで発表した和文論文の英語化を行い、国際会議、あるいはpreprint形式での公開を行い、研究成果を海外にひろくアピールする。その際には、関数の堅固性(non-malleable)という一般的定義も盛り込み、研究代表が最初に与えた函数の独立性と関係も論じる。これは、本研究の基本課題の1つである「特殊な数論的仮定を持ちず、関数の内在的性質だけを利用しての、存在の検討」に対するなんらかの解を与えてくると期待している。この関数の堅固性に関するアドバイスをくれたYunlei Zhao(復担大学, 中国)とは、本研究に関して、招聘や訪問する機会を設けて、より発展的な共同研究を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究成果発表のための,国内の暗号理論や計算量に関する研究会,学会参加費と旅費とに仕様する。海外で開催される計算機科学基礎に関する国際学会での成果発表、あるいは関連調査研究のための参加費と旅費にも仕様する。今年度の研究で、共同研究者の候補もでてきたので、彼らの招聘あるいは訪問のための費用にも使用する。
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Research Products
(3 results)