2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23650009
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
松井 泰子 東海大学, 理学部, 准教授 (10264582)
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Keywords | 列挙アルゴリズム / 離散構造 / 高速化 |
Research Abstract |
平成24年度は,昨年度に引き続き,木に対する「コスト付き点彩色問題」の最適解を列挙するアルゴリズム開発に従事した.木構造はグラフ理論のみならず,統計分野でも頻繁に扱われる構造であり,グラフィカルモデルのジャンクション木・木分解や,機械学習理論でも研究されている. 一般グラフ上での「コスト付き点彩色問題」はNP困難であるが,問題の実社会への応用に,『機械への効率良いジョブ割当』,『携帯電話の周波数割当』等が知られ,実用的なアルゴリズム開発が期待される興味深い問題である.木に対しては多項式時間で解ける事が1997年に示されたが,列挙アルゴリズム開発は,私の知る限り未着手である. そこで私は,平成23年度に上記列挙アルゴリズムを開発し,24年度に,木の構造を生かして,開発した列挙アルゴリズムの高速化に成功した.この研究成果は,海外研究集会(ベルリン,ハワイ)や,情報処理学会の研究集会にて発表し,成果について外部の研究者と深い議論を交わす事が出来た.また新たな結果も導けた為,共著論文にまとめ,投稿準備中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では,平成24年度の主作業は既存の列挙アルゴリズムの体系化,及びデータベース化を予定していたが,前年度に開発した列挙アルゴリズムに関連した興味深い研究成果が多数得られたため,データーベース化作業は一時中断している. しかし,平成23年・24年の2年間で,『コストを考慮して最適解のみを列挙する』という,新たなアプローチによる列挙アルゴリズム開発が遂行でき,また予想外の知見が得られた為,全体的に研究は順調に進展していると見なせる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,木に対する「コスト付き点彩色問題」の最適解の列挙アルゴリズムについて,現在までに得られている研究成果を論文にまとめ,専門誌に投稿する予定である.さらに,木に対する「コスト付き辺彩色問題」,「リスト付き全彩色問題」の最適解の列挙アルゴリズムや,第k最適解を求めるランキングアルゴリズムの開発の可能性を模索する.また並行して,既存の列挙アルゴリズムのデーターベースを完成させる予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は,2回の海外出張の内,1回分の費用を他の研究費から捻出したため,繰越金が発生している. 平成25年度は,主に旅費に使用する予定である.理由は,統計分野の研究集会において,本研究で得られた成果を発表し,外部の研究者との意見交換を通じて当該成果の統計分野への応用を検討する為である.同時に,最新の研究情報に関する知見を得て,研究の方向性を確認する.
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Research Products
(4 results)