2011 Fiscal Year Research-status Report
発光色の色変化による可視光通信を用いた非常時通信方式の基礎研究
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23650029
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
塚田 晃司 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (80372671)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 非常時通信 / 可視光通信 / 孤立集落 / 救難サイン |
Research Abstract |
日本は国土の7割近くを中山間地域が占め,災害時孤立可能性集落が全国約2万箇所存在する.多くの自治体では防災行政無線が導入されているが,住民が手軽に利用できる手段ではない.広く普及している携帯電話は,東海・東南海・南海地震などの広域災害では利用不能になる可能性がある. 孤立時に重要なことは,被害報告や救助要請を迅速に外部に伝えることである.そこで,既存通信手段が使えない場合の代替手段として,発光色の色変化による可視光通信を用いた非常時通信方式を提案する.非常時に上空を飛行するヘリコプターからの被視認性を高めるためには,発光色の色変化は効果的である. しかし,従来研究の可視光通信では,色変化による変調方式は注目したものはほとんどない.本研究課題では,これまでほとんど注目されていなかった色変化による変調方式について,送受信系の特性調査,変調・復調方式の検討,および,プロトタイプによる実証実験を実施する. 先行着手していた研究では,変調・復調方式にHSV表色系における色相角の位相範囲による色判定方式を採用していたが,平成23年度にIEEE802.15.7が国際標準化されたことをふまえ,CIE表色系におけるxy座標による色判定方式を採用することとした.そこで,平成23年度は,まず可視光による通信システムの発光特性を色彩照度計を用いて測定し,その結果をもとに送信側,受信側のプロトタイプシステムを実装した.また,使用想定環境であるヘリコプターと地上との間での実証実験を実施した. その結果,昼間は周囲が明るいためプロトタイプシステムの送信機の発光を確認することができず,昼間の場合は大光量の発行体が必要であることが判明した.一方で夜間は,上空からでも明瞭に撮影できており,十分に実用性が見込める.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初目的である(1)送受信系の特性調査,(2)変調・復調方式の検討,および,(3)プロトタイプによる実証実験の実施の3項目についてぞれぞれ(1)色彩照度計を用いた特性の測定の実施,(2)CIE表色系におけるxy座標を用いるCSK方式の採用,(3)ヘリコプターを用いた実証実験の実施を完了しており,順調に進展していると判断した.項目(2),(3)については,今後の課題もいくつか判明したが,これらは平成24年度以降に取り組む予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
当初目的である(1)送受信系の特性調査,(2)変調・復調方式の検討,および,(3)プロトタイプによる実証実験の実施において,平成23年度に実施した(1)色彩照度計を用いた特性の測定の実施,(2)CIE表色系におけるxy座標を用いるCSK方式の採用,(3)ヘリコプターを用いた実証実験の実施,の結果判明した課題について取り組む. 具体的には,受信側での認識精度が現状では低いため,その向上について使用する機材の再検討も含めて取り組んでいく.また,通信速度も数~十数bps相当であるため速度向上について取り組む.ただし,これは技術的な課題だけでなく,人体に与える影響(光感受性発作の誘発の可能性)も考慮して検討する必要がある.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究費は,(1)平成23年度に使用した機材を継続して使用し,研究協力者(大学生,若干名)の協力のもと課題解決に取り組んでいくための研究協力者金,および,(2)その中間成果を適宜学会等で報告するための旅費として使用する計画である.
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Research Products
(3 results)