2012 Fiscal Year Research-status Report
発光色の色変化による可視光通信を用いた非常時通信方式の基礎研究
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23650029
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
塚田 晃司 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (80372671)
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Keywords | 非常時通信 / 可視光通信 / 孤立集落 / 救難サイン |
Research Abstract |
日本は国土の7割近くを中山間地域が占め,災害時孤立可能性集落が全国約2万箇所存在する.多くの自治体では防災行政無線が導入されているが,住民が手軽に利用できる手段ではない.広く普及している携帯電話は,東海・東南海・南海地震などの広域災害では利用不能になる可能性がある. 孤立時に重要なことは,被害報告や救助要請を迅速に外部に伝えることである.そこで,既存通信手段が使えない場合の代替手段として,発光色の色変化による可視光通信を用いた非常時通信方式を提案する.非常時に上空を飛行するヘリコプターからの被視認性を高めるためには,発光色の色変化は効果的である. しかし,従来研究の可視光通信では,色変化による変調方式は注目したものはほとんどない.本研究課題では,これまでほとんど注目されていなかった色変化による変調方式について,送受信系の特性調査,変調・復調方式の検討,および,プロトタイプによる実証実験を実施する. 平成23年度までは,送信側のLEDの特性,受信側のカメラの特性,ならびに,周辺の環境ノイズを固定的にとらえていたため,実際に屋外の外乱のある環境下では色認識率が80%程度であった.そこで,平成24年度は,各特性を考慮し,カメラからの受信情報(RGB値)をRGB色空間上で補正し,さらにRGB色ベクトルの類似度を用いて判定することで,色認識率の向上を図った. その結果,平成23年度までの方式で80%程度であった認識率が,同じ屋外の実験環境下で,ほぼ100%近くにまで向上した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初目的である(1)送受信系の特性調査,(2)変調・復調方式の検討,および,(3)プロトタイプによる実証実験の実施の3項目について,平成23年度はぞれぞれ(1)色彩照度計を用いた特性の測定の実施,(2)CIE表色系におけるxy座標を用いるCSK方式の採用,(3)ヘリコプターを用いた実証実験の実施を完了した. 項目(2),(3)についての,今後の課題である色認識率の向上について,平成24年度は送受信系の特性を考慮してRGB色空間の補正手法を提案し,また,補正後のRGB色空間内におけるベクトル類似度を利用した色認識手法を採用することで解決を図った. 今後,新たに明らかとなった課題(たとえば,RGB色空間の動的補正手法,エラー検出・訂正符号と組み合わせたエラー率低減)については,最終年度の平成25年度に取り組む予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
当初目的である(1)送受信系の特性調査,(2)変調・復調方式の検討,および,(3)プロトタイプによる実証実験の実施において,平成24年度に実施した送受信系の特性を考慮してRGB色空間の補正手法,および,補正後のRGB色空間内におけるベクトル類似度を利用した色認識手法を採用したプロトタイプでの評価実験の結果判明した課題について取り組む. 具体的には,受信側でのRGB色空間の補正行列は現状では固定的であるため,周辺の環境光の影響を受けると正しく補正できないため,動的に補正行列を更新していく方式を検討する.また,エラー検出・訂正符号と組み合わせたエラー率低減について取り組む.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(4 results)