2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23650032
|
Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
武田 敦志 東北学院大学, 教養学部, 准教授 (90424001)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 情報システム / P2Pネットワーク |
Research Abstract |
平成23年度は、新しい構造型P2PネットワークWaon (Well-distributed Algorithm for Overlay Network) の基礎理論の確立と性能の検証を行うため、「計画1:動的負荷分散のためのノード動作アルゴリズムと通信プロトコルの設計」及び「計画2:シミュレーションによるWaonの性能評価」を行った。動的負荷分散を実現するため、構造型P2Pネットワーク全体の状況を推測するためのアルゴリズムと通信プロトコルを開発した。新たに開発した手法を用いることにより、P2Pネットワークに参加しているノード数と登録されているオブジェクト数を、O(log N)の通信コスト(Nはノード数)で推測することができる。また、このP2Pネットワーク全体の状況の推測結果に従って各ノードが自律的に動作することにより、オブジェクト管理コストや通信コストを動的に分散する仕組みを開発した。さらに、このP2Pネットワークを安定的に運用するためのネットワーク構築法を開発し、効果的に運用するためのオブジェクト検索プロトコルを設計した。以上の新たに開発した技術を用いることにより新しい構造型P2PネットワークWaonを実現することが可能であり、以上によりWaonの基礎理論を確立したと言える。また、Javaを用いてP2Pシミュレータを実装し、このシミュレータ上でWaonを動作させることによりWaonの性能評価を行った。この性能評価により、Waonが「スケーラブルなP2Pネットワークであり、100万個以上のノードの参加を可能とする」「ノードの性能に応じた動的な負荷分散を実現する」「オブジェクトの効率的な範囲検索を可能とする」「P2Pネットワークの通信によって発生する物理ネットワークのトラフィックを削減する」ことを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の平成23年度計画である、「計画1:動的負荷分散のためのノード動作アルゴリズムと通信プロトコルの設計」及び「計画2:シミュレーションによるWaon の性能評価」を達成することができた。成果発表の目標である「国際会議発表:1件」は達成することができなかった。しかし、本研究成果を纏めた1件の学術論文が採録決定となっており、成果発表の内容としては目標とした成果発表の水準に十分に達している。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の平成24年度計画に基づき、「計画1:Waon のアプリケーションの開発」及び「計画2:実験によるWaon の性能検証」を実施する。Waonのアプリケーションの開発では、P2Pネットワーク構築ツールキットであるOverlay Weaverを用いて、クラウド環境の代表的サービスである「分散ストレージ」を開発する。このアプリケーションを用いて評価を行い、Waonを用いて実装された分散ストレージでは「ノードの性能を考慮したファイルの分散配置」や「ファイルの範囲検索」が可能であることを示す。また、開発したアプリケーションを実ネットワーク上で運用し、Waonの性能を検証する。ここでは、Waonを用いてP2Pアプリケーションを開発することにより、物理ネットワークに発生するトラフィックを削減できることや、Waonネットワークが十分にスケーラブルであることを検証する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
Waonのアプリケーションを開発するため、本研究費によってアプリケーション開発用コンピュータを購入する。また、成果発表としては、3回以上の国内学会での発表と1回以上の国際会議での発表を予定しており、これらの参加費や旅費を本研究費より支出する。さらに、1件の学術論文の投稿を予定しており、この論文執筆に係る費用や投稿に係る費用を本研究費より支出する。
|