2011 Fiscal Year Research-status Report
脳賦活領域マッピングおよび位相同期解析によるアクティブ型個人認証技術の確立
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23650034
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Research Institution | Oita National College of Technology |
Principal Investigator |
鶴 浩二 大分工業高等専門学校, 制御情報工学科, 教授 (70390549)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ブレインコンピュータインタフェース / 脳波 / 個人認証 / バイオメトリックス / オーストリア |
Research Abstract |
本研究では,視覚・運動刺激により観測される脳波において個々人の違いを周波数帯域などを用いて,脳波による個人生体認証の実現可能性を探ることにある.本年度の研究計画として,視覚刺激による脳波について,周波数帯域などをパラメータとして,安定的に検出できる環境を整備し,脳出力信号の特徴量より認証アルゴリズムを作成することとし,その結果,次の研究結果を得た.(1) 動作想起を用いた脳波信号を用いて個人認証の検討…手,足,舌の運動を想起した時に出てくる脳波を用いた個人認証についての実現可能性を調べた.脳波と音声の解析におけるいくつかの類似性から,新たな特徴抽出法として音声認識に用いられるケプストラム法により,個人識別について検討を行った.その結果,脳波によって,9人の被験者の平均で高い判別率を得た.また,マハラノビス距離を閾値とした判別によって,バイオメトリックスシステムの性能を評価する等価エラー率0.17を求めた(2) 視覚刺激による脳波抽出…LEDの周期的点滅による視覚刺激装置を製作し,これによって被験者の定常状態視覚誘発電圧(SSVEP)を測定した.その結果,O1とO2におけるSSVEPを調べると,O1の検出率が高い傾向があった.また,2つの周波数が違うLEDを用いてSSVEPの判別率は,60%程度であり,今後,判別率の向上が課題である (3) 無線による脳波測定の検討…有線での脳波測定は,準備に時間と手間がかかるという問題点がある.そこで,脳波での個人認証の利便性を高めるため,無線による脳波測定の検討も行った.健康な男女の被験者6人の脳波測定を行い,周波数帯域による脳波分析,アーチファクトの影響,脳波の検出部分などの分析をおこなった結果,従来の有線での脳波測定結果と同等の結果を得た.アーチファクトを抑えれば,無線脳波測定機を用いた個人認証も可能であることを確認した
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の進捗は,進んでいる部分と遅れている部分があるが,全体的には当初の計画通りである.進んでいる部分として,運動想起に関する個人認証の研究の成果を報告できた点にある.しかし,運動想起は事前の訓練が必要になるため,誰でも使える認証方法としては,問題がある.このため,事前訓練を必要としない外部刺激を用いていた事象関連電位の同期現象,賦活領域マッピング,周波数帯域の違いによる個人認証として研究を進めたい.さらに,無線による脳波測定に早期に着手できた点があげられる.脳波による個人認証を実現するためには,無線化は避けられない問題だと認識していたので,有線での測定と同等の測定結果が得られたことより,今後の研究に活用したい.また,脳波による機器制御に関しても無線測定装置は有用であると考えられる.一方,遅れている部分としては,アーチファクト対策用の電磁シールドボックスが簡易なものしか実現できておらず,今年度中に完成させる予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年の研究成果を踏まえ,本年度は,外部刺激を用いていた事象関連電位の同期現象,賦活領域マッピング,周波数帯域の違いによる個人認証の研究を進展させるために,以下の項目に重点を置いて取り組む.(1) 脳の賦活領域を評価するために,脳波計測電極数を増加(6→14)させた実験に取り組む.現在は視覚刺激の信号として,後頭部(O1,O2)を中心として測定しているが,他の部分の情報と合わせて,個人の特徴抽出に取り組む.(2) 左眼と右眼への異なる情報を提示できる装置の開発を行い,異なる視覚情報を与えて脳内で情報統合させ同期の顕在化を測定できる装置を作製する.そして,被験者に心理的圧迫を与えない範囲での位相同期,賦活位置明確化の条件探索を行い,両眼異情報の情報統合による個人認証の実験を行う.(3) 認証の度に新たな刺激を脳に入力することにより,新規登録データを得ることができ,人工物などの詐称に対しても強い耐性を持つと考えられるアクティブ型個人認証プログラムを試作し,アクティブ型個人認証の可能性を明らかにする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は,以下の項目で研究費を使用する計画を立てている.(1) 脳波のエリア情報を詳細にするために,測定電極とプリアンプの追加(2) 新たな実験として,左眼と右眼への異なる情報を提示できる装置として, 3次元表示出来る液晶ディスプレイと電子シャッター式のゴーグルを用いた実験装置の構築(3) 測定時のアーチファクト対策として,電磁シールドボックスの製作(4) 研究成果の発表として,国内学会発表1回,国際学会発表1回また論文1報の発表を予定
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Research Products
(9 results)