2012 Fiscal Year Annual Research Report
脳のディジタル通信:感覚刺激による変調と脳波からの復調
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23650059
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
田中 聡久 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70360584)
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Keywords | 脳波 / 脳インタフェース / 信号処理 |
Research Abstract |
本研究課題では,ブレイン・マシン・インタフェース (BMI) における「周波数枯渇問題」を,通信工学的に解決しようという挑戦的な目的を設定している.とくに,定常的視覚誘発電位(SSVEP)と呼ばれる,視覚的な外部刺激によって誘発する特徴的な脳波に関して,脳を「通信路」とみなしてディジタル通信の理論を適用しようという課題を設定した.本年度は,SSVEPの周波数特性の測定と外部出力型BMIへの実装,周波数変調(FSK)方式によるコマンドの設定とBMIの特性,また,位相変調(PSK)方式によるコマンドの設定とBMIの特性に関して研究を実施したので,以下に詳細を記す. まず,SSVEPの周波数特性については,LCDで点滅周期の異なる視覚刺激を作成し,これを被験者に提示した.その上で,正準相関分析法(CCA)を用いて多チャンネルで測定されるSSVEPの強度を測定した.これによって,SSVEPの平均強度スペクトルを作成した. つぎに,平成23年度に引き続き,FSK方式によるBMIについて研究を行った.23年度の段階では被験者の数が十分ではなかったため,被験者を合計10名に増やし,FSK-BMIに関してコマンド識別率とITRを測定した.また,バイナリ符号0/1の組み合わせで最適となる視覚刺激の点滅周波数を測定する方法と,実際の測定を実施した.その結果,従来の変調を加えない方式より高い情報伝達レートを達成した. さらに,PSK方式に関しても,実現可能性を明らかにするための予備実験を行った.ここでは,180度位相が異なる視覚刺激を呈示し,離散フーリエ変換によりSSVEPの位相を検出することで,シンボル符号の復調が可能であることを示した.
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