2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23650062
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
唐山 英明 富山県立大学, 工学部, 准教授 (00401323)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | なし |
Research Abstract |
ブレインライフログシステムの実現に向けて、被験者に聴覚刺激を提示するシステムを開発した。まず屋内での着座、さらに屋外(富山県立大学キャンパス内もしくはその周辺)の直立、歩行、走行時の運動状態で聴覚刺激時のP300を計測した。計測はアクティブ電極を搭載した脳波計を調達して実施した。頭皮頭頂部に電極を1個、耳朶にリファレンス電極を装着した。また、被験者の運動の様子を屋内でモニタ可能なモーションキャプチャ装置を調達し、運動状態を計測可能な環境を構築した。 結果的に、屋外においても歩行状態までは比較的明瞭なP300が出現することが分かり、また、運動強度とP300波形の劣化には明瞭な相関があることが判明した。筋電計測を実施する予定であったが、屋外歩行状態でのP300検出の目的が十分に達成されたため、特に詳細に実験・解析を行う必要はなくなった。 さらに、屋外の実験で得られたデータの解析を詳細に行った。歩行等のP300を用いて、パターン認識により、ヒトの状態推定を行った。P300の検出は可能な限り短時間で行われる必要があり、アルゴリズムの開発においては、高度なパターン認識技術を適用する必要があった。主に、多変量解析による特徴抽出、線形判別分析、サポートベクターマシンを利用した識別を行った。これにより、5回加算から加算無しのP300が、それぞれ約90%から約70%の精度で検出できること確認した。 以上より、当初の目標は達成でき、一部次年度の内容に踏み込んだ実験を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの達成度としては、一部で研究の進捗が極めて速く、すでに次年度に予定されている研究内容を実施している。この点から、順調に進んでいると判断できる。一方で、一部、想定よりも進捗状況が良いために実施を省略した計測もある点を指摘しておきたい(筋電計測)。筋電計測は技術的には十分に可能であるが、すでにブレインライフログシステムの実現可能性が確認され、その開発に緊急に取り組むべきと判断されたためである。以上から、達成度としては順調であり、次年度の取り組みにより、さらに良い結果が期待できる状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、聴覚刺激に注意した場合と、無視した場合の脳波のパターンの相異を利用して、P300が検出された際(聴覚刺激に注意した場合)に映像を記録するシステムを開発する予定である。ただし、1年目において、このシステムの原型となるものを開発済みである。システムの動作状況は、ヘッドマウントディスプレイを通して被験者にフィードバックする仕組みとする予定であったが、屋外歩行時には事故につながる可能性があるため、音声でのフィードバックとすることが望ましい。よって現状、P300の検出結果はイヤホンにより提示されることになっている。被験者がリアルタイムで「興味」のある索引を付与し、その時刻を考えるだけで記録可能なシステムとなっている。 以上より、前倒しで「ブレインライフログシステム」が実現した状況であるが、当初の予定通り、カメラシステムとの連動までを行う考えである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度もブレインライフログシステムの開発を継続するが、研究費はラップトップ型パソコンや計算機を購入する費用に充て、脳情報処理を行うシステムに活用する。以上は当初の予定通りである。 また繰越金は、被験者の謝金等に充てることを検討している。
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Research Products
(2 results)