2013 Fiscal Year Annual Research Report
グラフィカルモデルを用いた高分子ポテンシャルデコーダの開発
Project/Area Number |
23650068
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
篠崎 隆宏 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (80447903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠田 浩一 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (10343097)
関嶋 政和 東京工業大学, 学術国際情報センター, 准教授 (80371053)
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Keywords | タンパク質 / 立体構造 / ポテンシャルエネルギー / max-sum / サンプリング / 因子グラフ |
Research Abstract |
タンパク質の立体構造はその機能と深く関わるため、アミノ酸配列から立体構造を予測するための様々な方法が研究されている。中でも既存の類似タンパク質構造情報を用いないアブイニシオ(ab initio) 構造予測を試みる方法として、分子のポテンシャルエネルギーにより定まるギブス分布をマルコフ連鎖モンテカルロ(MCMC) 法によりサンプリングし探索する確率モデル法がある。タンパク質のような巨大分子では非熱平衡初期状態から熱平衡達成までに長い時間がかかるが、確率モデル法はギブス分布を直接探索することから効果的な適用が期待される。しかし実際には探索効率に問題があり、アブイニシオなタンパク質立体構造予測は未だ実現していない。そこで本プロジェクトでは確率法における分布の表現に因子グラフと呼ばれるグラフ構造を導入した上で、局所的なMCMC探索と、音声認識などにおいて用いられる大域的なグラフ探索手法であるmax-sumアルゴリズムを組み合わせたSCMS手法について提案を行い、その改良に取り組んだ。 最終年度の成果:最適化プロセスにおける温度等の諸条件と探索効率の関係を明らかにした。ポテンシャルエネルギーの最小化から自由エネルギーの最小化へとアルゴリズムを拡張する方法を明らかにした。 期間全体の成果:原子間の相互結合作用およびレナード-ジョーンズ・ポテンシャルを組み込んだポテンシャル関数を対象とし、エネルギーの低い原子配置を探索するアルゴリズムの提案とソフトウエアの実装を行った。MCMCやMCMCとニュートン法を組み合わせた方法と比較して提案するSCMS手法の方が、特に対象とする分子のサイズが大きい場合に、より少ない計算量でより低いエネルギーを与える配置を発見できる場合があることを示した。 今後の課題:グラフの初期化方法や探索アルゴリズムについて改良を行う予定である。
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Research Products
(1 results)