2011 Fiscal Year Research-status Report
シミュレーション駆動パターン認識に基づくステレオ視覚の実現
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23650081
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
福井 和広 筑波大学, システム情報系, 准教授 (40375423)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ステレオ視覚 / パターン認識 / シミュレーション |
Research Abstract |
本研究課題では,従来の三角測量に基づく方法とはまったく異なるアプローチ"シミュレーション駆動パターン認識"に基づいてステレオ視覚を実現し,その有効性を示す.具体的には,入力されたステレオ左右画像の局所領域を連結したパターンに対して,その領域内の最大視差を出力する識別器を統計学習し,これを多数用意することでステレオ視覚を構築する.この際,統計学習において視差ラベルが付加された大量かつ多様なステレオパターンが必要となるが,これらは,計算機シミュレーションにより効率良く生成する.上記目標を実現するために,本年度はスレテオ視覚のアルゴリズム評価では世界標準となっている"Head and lamp" (Tsukuba Stereo Database)を,周囲環境まで含めた3次元モデル化を行い,そのモデルに対して,カメラ視点,照明条件を多様に変化させながら,1800対のスレテオ左右画像を生成した.さらに生成したスレテオ画像対から合計80000個のスレテオ局所左右パターンを抽出した.これらの抽出されたスレテオ局所左右パターンのセットを用いて,16段階の視差クラスを出力するステレオ視覚(識別器)を線形判別分析により構築した.このCG合成画像のみで学習させたステレオ視覚と,現在,最も高性能とされているAD-Censusに基づくステレオ視覚の性能を,上記Head and Lamp(実画像)を用いて比較評価した.その結果,隠れが無い(左右画像が両方とも見えている)領域では,提案法の視差検出精度の方が優れていることを確認した.一部の隠れがある領域では,AD-Censusの方が性能が高かったが,本来,これらの領域はスレテオ視覚が原理的にうまく働かない領域である.そこで,隠れ領域を事前に検出する方法も併せて考案し,その有効性を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前半期,震災の影響により研究協力者が一時帰国したために,スケジュールにやや遅れが生じたが,後半期はCGモデルの構築を精力的に進め,当初の予定通り,シミュレーション駆動パターン認識に基づくステレオ視覚の有効性を実証することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
3次元モデルの拡張・整備,およびスレテオ学習パターンの大量生成のために,CG技術に精通した研究者に協力を仰ぐ.また,得られた研究成果を国際学会,論文誌などで積極的に発表していく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
震災の影響による研究協力者の一時帰国のために,スケジュールに遅れが生じ,予定した国際学会への投稿ができなくなった.このために本年度の研究費に残額が生じた.次年度は本年度の繰り越し分と次年度分を併せた研究費を主に以下の事に使う.CG合成のスピード,効率を加速するために,CG生成に掛かる機材関係を追加購入する.また先に挙げた研究協力者の雇用費,成果発表に掛かる諸経費にも使用する.
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