2012 Fiscal Year Annual Research Report
室の伝達特性の測定を必要としない室内音響指標のブラインド推定の研究
Project/Area Number |
23650086
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
鵜木 祐史 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 准教授 (00343187)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤木 正人 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 教授 (20242571)
宮内 良太 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教 (30455852)
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Keywords | 室内音響指標 / 変調伝達関数 / 音声伝送指標 / ブラインド推定 / 残響特性 |
Research Abstract |
音バリアフリーやユニバーサルデザインの志向から,利用者に係わらず円滑な音声コミュニケーションを実現するための要素・統合技術の確立が急務となっている.そのため,音環境設計における質的な検討(音声の明瞭性の向上,誘導音の検知力向上など)は,最重要課題である.本研究の目的は,室内の伝達特性を測定せずに観測された音信号(音声や音楽といった身の回りの音)そのものから室内音響指標(残響時間(T60),音声伝送指標(STI),明確性(D値))を逆推定する方略を明らかにすることである. 本研究では,変調伝達関数(MTF)に基づき,室内音響指標をブラインド推定する方法を確立するために,「MTFに基づいた残響時間のブラインド推定法」を足がかりとして,次の3つの課題に取り組む.1.室の統計的な音響特性を調査して,変調伝達関数のモデル化を行なう.2.様々な室の音響特性を網羅して,MTFの関数モデルの精緻化を行なう.3.MTFの逆推定法を加えた室内音響指標のブラインド推定法を構築する. 平成24年度は,課題2と課題3に取り組んだ.課題2では,様々な室の音響特性を網羅して,MTFの関数モデルの精緻化を行った.ここでは,Schroederの室内インパルス応答の近似特性(指数型の減衰特性)にパラメータを一つ加えることで初期の過渡特性も表現できるようにモデルを拡張した.これに関し,課題1で取り組んだ総合評価を同様に行い,拡張モデルの有効性を確認した.次に課題3として,モデル化されたMTFから室内音響指標を算出する方法を検討した.最後に,平成23年度に購入した室内音響測定システムを利用して,実環境における室内音響指標のブラインド推定法を評価した.この結果,実測の室内インパルス応答の諸特性と同等の特性を推定可能であり,また人がいる環境でも観測信号から正確にMTF/STIをブラインド推定できることを確認した.
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Research Products
(10 results)