2011 Fiscal Year Research-status Report
相平面確率モデルを用いた合唱歌唱における相互作用の動的特性の分析
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23650088
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
武田 一哉 名古屋大学, 情報科学研究科, 教授 (20273295)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 歌唱様式 / 歌声合成 / 行動信号処理 |
Research Abstract |
生活環境下での人間の行動を観測して得られる「行動信号」処理の研究が行われているが,行動者の意図や状態を観測信号に対応させうる,一般的な信号モデルは未だ知られていない。特に相互に影響しあう複数の行動者を観測して得られる信号群の研究が遅れている。本研究では,このような信号群が連成振動系の「引き込み」に基づいて理解可能であることを,提案者らが研究を進める「相平面確率モデル」に基づいて検証する。相互作用の下にある行動信号群として合唱歌唱信号を取り上げ,合唱歌唱における引き込みの分析・モデル化を相平面確率モデルを用いて行い,独唱歌唱信号から合唱歌唱信号が生成可能であることを示す。 合唱経験者ならびに未経験者2名の歌唱データ(随伴歌唱を伴う歌唱と、斉唱)を収録し、信号波形を分析することで基本周波数の時系列を抽出した。二人の歌唱者の音高時系列を表す物理モデルとして、2質点、3ばねモデルを規定した。このモデルに随伴者の歌唱音高系列 F(t) と、楽譜の音高系列 U(t) が入力された場合に相当する微分方程式の解法として、以下の3つの方法を試みた。(1)F(t), U(t) をフーリエ変換し、各周波数要素毎の解を重ね合わせる方法、(2)斉次方程式からインパルス応答を導く方法、(3)ラプラス変換を用いる方法。これらの結果、(3)のほうほうが最も精度の高い解を与えることが明らかになった。解として得られた、推定合唱歌声の音高を用いて合唱音声の生成を行った結果、独唱歌声と、独唱歌唱から生成された推定合唱歌声との受聴実験を行ったけった、聴感上峻別しうることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた、データ収録を完了し、収録データを用いて当初計画どおりの研究を推古出来ることが確認されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2質量3ばねモデルのモデルパラメータを、実際の歌唱データから推定する方法を確立するる。推定方法として、時系列データの重回帰分析をベースラインの方法として、フーリエ分析を利用する方法との比較を行う。 与えられた音高時系列から歌声歌唱を合成する方法を確立し、合成された歌唱データの大規模な主観評価を行う。さらにモデルを2人以上の合唱歌唱に拡張する方法を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験データの収録、シュミレーション実験の補助、データ整理の補助を行うためにアルバイト雇用の人件費が必要である。研究成果の発表や議論のため国際会議(ISMIR、ポルトガル)や国内学会(日本音響学会)等に参加する旅費が必要である。研究用図書やシミュレーション用ソフトウエアを購入、レンタルする費用が必要である。
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