2012 Fiscal Year Research-status Report
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23650091
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
松井 知子 統計数理研究所, モデリング研究系, 教授 (10370090)
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Keywords | 機械学習 / 統計科学 / かな書 |
Research Abstract |
平成24年度は、(1)「かな書」デーベースの収集と整備、(2)学習機械の出力値から、体調や気分を誤りリスクを考慮しながら統計的に判定する学習機械の構築を行った。 (1)については、被験者5名に8ヶ月に渡って毎週1回、手本を見ながら「かな書」を5枚書いてもらった。同時に体調・気分などの健康状態をアンケートに回答してもらうとともに、体温や血圧を測定して記録した。さらに、健康状態や実験についてのヒアリングを行った。それらのデータを整備して、学習機械で扱える形に加工した。 (2)の学習機械を用いて実証実験を行ったところ、「かな書」から体温や血圧が通常値の範囲か否かを6割程度の精度で判定できることが分かった。また、肉体的疲労感、体調の主観評価で良い/悪いも6割程度の精度で判定できることが分かった。体温や血圧については測定器の種類と測定時間により、測定値のばらつきが大きい。特に食後の経過時間は、健康状態とは関係なく血圧値に影響する。また個人によるばらつきも大きい。判定精度の向上のためには、学習機械を個人ごとに調整し、測定器や測定時間を一定にする必要があることを確認した。また健康状態のアンケートに関しては、被験者の中で、恒常的な精神的・肉体的疲労感を申告する一方、「体調が悪いなら、仕事も書道もできないはず」と、調子が悪そうであっても体調の項目で“悪い”を選択することを躊躇する人も多かった。今後はアンケート内容の精査が必要であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度は当初、体調の他、「かな書」の美しさなどの芸術性の変化も学習機械で自動判定する予定であった。しかし、被験者は書のレベルが低く過ぎ、芸術性の評価とそれに基づくタグ付けは非常に難しかった。そのため芸術性の判定は断念し、体調や気分の判定に注力することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は前年度に整備したデータベースを利用して、「かな書」から体調や気分の変化を判定する学習機械を構築する。また前年度に検討した、学習機械の出力値から、体調や気分を誤りリスクを考慮しながら統計的に判定を行う手法の高精度化を行う。さらに体調や気分、およびその変化の推定に加えて、筆者判定を総合的に行うシステムを作成する。試験的に運用して、多様な情報を同時に扱う有効性を検証し、本システムの実用性に関する評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は次の項目に研究費を使用する計画である。 - 「かな書」データによる実証実験作業支援(技術補佐員の謝金):90万円 - 「かな書」に関する本・資料の購入:10万円 - 研究調査のための旅費:60万円 - その他(プリンタ消耗品など):9万円
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