2012 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫と移動ロボットの能動的相互作用による行動発現メカニズムの理解
Project/Area Number |
23650102
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
川端 邦明 独立行政法人理化学研究所, 理研ーXJTU連携研究チーム, チームリーダー (90301754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青沼 仁志 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (20333643)
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Keywords | 昆虫 / 相互作用 / 適応メカニズム / 移動ロボット |
Research Abstract |
本研究の目的は,生物が無限定環境下において状況に応じて実時間で行動を選択するために働く神経機構に基づいた行動発現の理解である.これを実現するために,本研究では,能動的相互作用のために実時間行動計測・小型移動ロボット無線制御を実現するシステムの構築を行った.実験により開発システムによって,行動実験時にビデオデータ,音声データ,移動軌跡データのオンライン記録が実現できることを示した.また,コオロギ行動から着想を得た制御方策を実装した相互作用実験を行い,ロボットを使ったコオロギの適応的な行動切換えの誘発が可能であることが実証された.具体的には,コオロギフェロモンを纏った小型移動ロボットの姿勢をコオロギの方向へ調整しつつ,ロボット正面領域にコオロギが入った場合には距離に応じて接近.離反の移動パターンを実行するプログラムを開発した,これを実装して,複数回の相互作用実験を実施することで,コオロギ間と同等のフェロモン行動の誘引が観察されることが確認された. 一方,コオロギの交尾行動では,雄が雌を呼び寄せ交尾に達するまでに一連の行動の遷移が見られる.雌の交尾行動の動機付けや雄の攻撃性の変化には脳内アミン類の働きが重要であることが分かった.具体的には,脳内神経修飾物質である生体アミンのオクトパミン,セロトニン,ドーパミンなどの働きが重要である.HPLC-ECD法で脳内アミン類の計測を行ったところ,雌の交尾行動に先行して雄の鳴き声に対する音源定位行動の開始にドーパミンがかかわることが示唆された.
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