2011 Fiscal Year Research-status Report
内容に基づいた文学作品の典拠和歌検索システムに関する研究
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23650128
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
中田 充 山口大学, 教育学部, 准教授 (60304466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 誠 山口大学, 教育学部, 教授 (70141116)
葛 崎偉 山口大学, 教育学部, 教授 (30263750)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 和歌データベース / 万葉集データベース / 内容検索 / 古典データベース |
Research Abstract |
本年度は,和歌検索の速度を向上させる,より複雑な検索条件の指定を可能とする,和歌データのメンテナンスなどの更新がより簡単に行えるようにする,などの観点に基づいて,過去に構築していた万葉集和歌検索システムを,データベース管理システムとプログラミング言語Javaを用いて再構築した.これは,万葉集に掲載されている和歌を対称とした典拠和歌検索システムを実現するためには,まず,従来の万葉集検索システムの問題点を解決しておくことが必要であるとの判断からである.その際に,従来では表現できなかった漢字に対応するために,文字コードをSJISからUTF-8に変更した.この結果,従来は120文字ほどの表現できていなかった漢字のうち,70文字程度が表現可能となった.さらに,UTF-8でも表示できない漢字については,アルファベットなどの記号で置き換えてDBに格納しているが,それらの漢字の画像も含めた形で検索結果を表示する機能も追加した.加えて,現代仮名遣いと歴史的仮名遣いを自動的に変換して検索する機能を追加した.これまでは,和歌に含まれる歴史的仮名遣いを忠実にキーワードとして指定する必要があったが,これによりその手間を省略することが可能となった.また,ユーザーの利便性を考慮して,検索条件に指定されたキーワードを検索結果中に強調表示する機能,検索結果内での文字列検索などの機能も追加した.このように,従来の検索システムの大きな問題点を解決した.次のステップとして,検索条件に指定されたキーワードの同義語からも和歌を検索する機能を実現した.あるキーワードの同義語は,概念体系辞書と日本語単語辞書をDBに格納したものを検索することで求めている.ただし,同義語を求める処理に時間が掛かるなどの問題があり,これを解決することが目下の課題である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
従来の万葉集検索システムの問題点・変更事項などを検討したところ,このままでは典拠和歌検索システムとして利用するためには多くの機能的な問題を抱えていることが判明し,本年度はそれを解決することを大きな目標とした.そのため,本来の目標である内容による和歌の検索については,検索キーワードの同義語による検索機能の実現にとどまっている.
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Strategy for Future Research Activity |
万葉集の和歌に含まれる語句を自動的に抽出する仕組みを提案・実現する.そのために,まず,古語で書かれた和歌の中から自立語(名詞,動詞,形容詞,形容動詞)を自動的に抽出するようなアルゴリズムを考案する.次に,考案したアルゴリズムをコンピュータを用いて実装し,それを既存の万葉集データベースに格納されている和歌に適用することで,和歌検索のための古語索引のキーワード(索引キーワード)を抽出する.その後,抽出した索引キーワードについて,その母体となった和歌の分類,構造,時代を調査し,索引キーワードの意味やその変化などを明らかにする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
万葉集検索システムの再構築ならびに機能追加について予想以上に時間が掛かったため,本来の研究目的である内容による和歌検索に関する検討が進まなかった.そのため,年度末まで発表する成果が得られなかった.現状では,機能追加などは一通り完了しているため,同義語を用いた検索機能についてのさらなる改良,ならびに,内容による検索に関しての考察を行った後に,国内での成果発表を行う予定である.次年度の研究費は,その国内関連学会等での成果発表の旅費として使用予定である.
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