2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23650136
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小林 千浩 神戸大学, 医学研究科, 准教授 (90324780)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2012-03-31
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Keywords | 脳認知科学 / ゲノム脳科学 / エピジェネティクス / 認知 / 知能 / 精神発達遅滞 / CNV / マイクロアレイ |
Research Abstract |
本研究により、以下のことについて明らかにした。 (1)マウスの行動解析による得点化と遺伝子発現・DNAメチル化解析 正常の雄マウス(C57BL/6J)41匹の各マウスから脳を採取し、抽出した海馬のRNAで遺伝子発現を解析した。行動テストパラメーターを取捨選択して組み合わせ、高パフォーマンスマウス5匹と低パフォーマンスマウス8匹を選び出した。これらのマウスについて、GSEA解析により、パフォーマンスと関連している発現が見られる遺伝子群をいくつか同定した。これらの遺伝子群は認知機能に関わる可能性があると考えられる。 (2)IQの差が顕著な一卵性双生児を用いた遺伝子発現・DNAメチル化解析 一卵性であると卵性診断が確定された、IQ差が15以上(1SD)の一卵性双生児17組のリンパ芽球からRNAを抽出し、遺伝子発現解析を行い、高IQ兄弟と低IQ兄弟間で発現差の見られる遺伝子群をいくつか特定した。また血液由来DNAを用いてMeDIP-on-chip解析を行い、双子兄弟間でプロモーター領域のDNAメチル化に差のある遺伝子を1つ特定した。これらの遺伝子群・遺伝子は、認知機能に関わる可能性がある。一方で血液由来DNAを用いたゲノムワイドのCNV解析を行ったが、兄弟間で異なるCNVは同定できなかった。 (3)精神遅滞の原因遺伝子の同定 原因不明の精神遅滞患者試料27人検体分の血液由来DNAを用い、ゲノムワイドのCNV解析を行い、既知の重複・欠失症候群と、未知のCNVを検出した。未知のCNVから、精神遅滞の原因になりそうな遺伝子を選び出した。 (4)同定された遺伝子の機能解析と分子ネットワークの構築 (1)と(2)の解析から、同じ機能を持つ遺伝子群が同定されており、これらが認知機能に関わる可能性が高いことを示唆していると考えられる。
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