2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23650138
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
飛松 省三 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40164008)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸次 直明 日本大学, 工学部, 教授 (90209205)
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Keywords | 神経美学 / 絵画の美醜 / 1/fゆらぎ / 電磁場反応 |
Research Abstract |
<目的>美的評価は、視覚像そのものに対するボトムアップ的評価と、視覚像から得られる意味や解釈によるトップダウン的評価の2つに大別される。従来の研究手法は、脳機能計測と主観的評価の相関から美を読み解いており、客観的に計測される脳活動を被験者の主観から評価する結果となっていた。これとは、全く逆の発想で、視覚対象の美を1/fゆらぎの観点から捉え、1/fゆらぎのあるものとそうでない絵画を見ているときの脳活動を306チャンネル脳磁図(MEG)で時空間的に分析し、絵画の構成要素(ゆらぎ)から美の脳内基盤を明らかにする。分析手法も刺激と時間的に同期した事象関連誘発反応だけでなく、気付きに関連するガンマ(γ)振動を用いて解析する。<解析>① 絵画のゆらぎ解析高名な絵の画集(世界の名画1000の偉業)を購入し、戸次が開発した解析アルゴリズムにより絵画のパワースペクトルを求め、両対数プロットでゆらぎ解析を行った。② 脳磁場反応解析美の評価にはいわゆる社会脳(上側頭溝ー扁桃体ー前頭眼窩野)の活動を捉えることが重要である。扁桃体や前頭眼窩野は比較的深部にあるので、通常のMEG解析法では活動が捉えにくい。そこで、空間フィルタ法の一種であるBeamformerにより扁桃体の活動をいかに捉えるかについて検討した。<結果>① ルネサンス前後からモダンアートの絵画全体のスペクトル解析に基づくデータベースを構築した。この基本的解析により、実験に使用する絵画(「ヴィーナス誕生」、「モナ・リザ」、「哭く女」など)を決定した。② これらの刺激を用いて脳磁場を計測し、バーチャルセンセを活用して扁桃体の活動を安定して計測できることに成功した。絵画の種類により前頭眼窩野の活動も捉えることができた。<総括> 絵画の揺らぎから社会脳の活動の変化を捉えることができた。ただし、定量解析には至らなかったので、今後も研究を継続する。
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