2013 Fiscal Year Annual Research Report
複雑なネットワーク様信号伝播経路における経路刈り込みによる信号処理機能の顕在化
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23650151
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
元池 育子 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 助教 (70347178)
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Keywords | 樹状構造 / 反応拡散 / 信号伝播履歴 |
Research Abstract |
二年度にわたって得た樹状構造形成のダイナミクスに関する知見をもとに、信号伝播の履歴に応じた枝の刈り込みの様式について検討を重ねた。 検討を行った課題の一つに、経路形成・維持に関わる保存量を仮定した場合の、信号伝播履歴に応じた動的な経路変化がある。前年度の知見から、より動的な経路変化を得るために、初期状態として一定の樹状あるいはランダムな経路を与えることで減算的な経路変化を前提とし、かつ単一の樹状構造内で経路形成構想要素が保存する系を想定した。その上で信号伝播履歴等に応じた経路変化のパターンとして、縮退の他方で伸長するという「動き」のある経路パターン変化を得るための、必要なダイナミクスの検討を行った。 その結果、これまで経路形成と信号伝播履歴を時定数の異なるダイナミクスの相互作用系として取り扱ってきたが、経路の変化部分において、一領域での縮退に呼応した他の領域での伸展には、経路形成ダイナミクスへの空間的な局所性の反映(拡散係数が異なるダイナミクスがあることに相当)が必要であることが明らかとなった。 また、他に行った課題として、前年度に引き続き、3次元系での樹状構造形成系における樹状構造の多様性を求めて、パラメータ空間及びダイナミクスの探索を行った。しかしながら、昨年度に得られた樹状構造と定性的に異なる形状様式は得られなかった。 信号伝播履歴に依存した経路変化、特に刈り込みに相当する経路減衰を通じての経路形成・信号伝播パターンの多様性同定、及び信号処理機能への展開について、3年間の研究期間をもって研究を遂行し、特に信号処理機能への展開については、形状変化後の樹状経路形状自体が、初期状態経路及び入力信号の時空間パターンの定性的な記憶をあらわすことを示した。今後さらなる信号処理機能への発展を求める予定である。
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