2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23650155
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
木賀 大介 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (30376587)
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Keywords | 合成生物学 / 遺伝暗号 / リボソーム / tRNA / 直交性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、遺伝暗号に焦点をあてた構成的アプローチによって、「生命を構成するために20種類のアミノ酸全てが必要か」、という疑問を追求することにある。生命の最重要な演算である翻訳過程に用いられる遺伝暗号は、基本的に全ての生物に共通している。では、なぜ生命は現在の20種類のアミノ酸セットを採用したのだろうか?単純なかたちから複雑なかたちへと変化する進化の本質を考慮すれば、遺伝暗号の成立時から20というアミノ酸の種類が定まっていたとは考えにくい。この疑問に答えるために、申請者はすでに、19種類以下のアミノ酸のみで成立する「単純化」遺伝暗号表を試験管内に構築している。最終的には19種類のアミノ酸でのみ生育する生物の創生を目指しており、本研究では、トリプトファンを用いない単純化遺伝暗号を細胞内に構築できることを示し、さらなる遺伝暗号の進化の研究の基盤とすることに挑戦した。 本研究では、既に試験管内で構築した、本来トリプトファンを指定するUGGコドンがアラニンを指定することで19種類のアミノ酸のみが記されている「単純化」遺伝暗号を、細胞内に構築することを試みた。そのための第一段階として、ゲノム上のtRNA(Trp)を失い、温度感受性プラスミド上の野生型tRNA(Trp)によって生育する大腸菌の作成が必要となる。後者のtRNAの動作は確認できたものの、ゲノム上のtRNA(Trp)の削除を達成することができなかった。 さらに本研究では、なぜ生命は現在の20種類のアミノ酸セットを採用したのだろうか、という問いに対応して、追加のtRNA変異体構築を基盤とする、種々の単純化遺伝暗号の作成にも成功し、遺伝暗号改変の原著論文の公表や、生命の起源に関するGordon conference等において口頭発表を行った。また、単純化遺伝暗号表の動作を検証する種々のレポータータンパク質の開発にも成功した。
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