2012 Fiscal Year Research-status Report
ロービジョンと色弱の色認識特性に基づくカラーユニバーサルデザイン原理の研究
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23650161
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 啓 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 准教授 (00311192)
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Keywords | 色覚 / 色弱 / 弱視(ロービジョン) / バリアフリー / ユニバーサルデザイン / CIE xy色度図 / 混同線 / シミュレーション |
Research Abstract |
昨年度行った、色弱やロービジョンの人が混同する色の組み合わせをさらに詳細に解析するため、xy色度座標の上で等間隔に並ぶ様に色調整した色票を高精度なカラープリンターで多数用意し、昨年度のP型のみに加え、P型とD型のさまざまな色弱の人について、混同する色がどのように並ぶかを解析した。昨年同様、混同する色がxy色度図の上で一直線ではなく場所によってわずかにカーブすること、混同線が色度図の全域にわたって伸びるのではなく一部の色域では混同が見られないことを確認し、さらにカーブの度合いと混同が見られない範囲を解析した。 周囲とのコントラストが鮮明で黄色を含むというロービジョン者からの要望と、景観を刺激せず彩度が高すぎないものが好ましいという建築デザイナーからの要望を両立する点字誘導ブロックを開発するため、まず昨年度にキャンパス内に敷設した、ベース部と突起部の色が異なる3種類の試作誘導ブロックについて、ロービジョン被験者の第1回実地検証を行った。茶色と淡黄色、グレーと淡黄色の組み合わせのうち、グレーを用いた者は周囲の路面との色の差が小さく、茶色を用いたものよりもわずかに評価が低くなった。また大学病院の協力を得て、病院受診者へのアンケート調査も開始した。 さらに、昨年度敷設したものは周囲の路面がタイルやコンクリート等の明るい色調の場合に有効になるよう考慮したものだったので、アスファルトのように暗い色調の場合に有効になるように配慮したベース部と突起部の組み合わせのサンプル6種類を作成し、さまざまな照明下でロービジョン者による実地評価を行い、高評価だった3つの配色を絞り込んだ。この結果を踏まえ、ベース部と突起部の色の組み合わせと、突起部の形状を変更した、合計7種類の実地検証用誘導ブロックのデザインを確定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ロービジョン者への見やすさに配慮した点字誘導ブロックの研究に大学施設部の協力を得ることができ、キャンパス内に試験用の点字誘導ブロックの本格的工事を行って長期にわたり敷設し、調査を行えることになった。第一次の敷設とその解析は23年度末~24年度に行ったが、第二次の敷設は、学内調整と、第一次敷設による調査結果を踏まえた改良の必要のため、敷設工事の完成予定が25年度初頭にずれこんでしまった。(誘導ブロックの敷設工事は大学施設部の経費で行い、これを用いた調査を本研究で行う。)また、第二次工事の調査の際に依頼するロービジョン被験者で行う予定だったシミュレーションによる実験も、これにともなって実施予定時期が25年度前期にずれた。そのため、研究期間を1年間延長した。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の研究で発見された色弱者の混同線の精密調査は、従来と異なる新しい知見を提供したので、これに基づいてロービジョン者の色覚特性調査も推進する。点字誘導ブロックについては、アスファルト等暗い色の道路における試験を設置するための学内調整が完了したので、実際のブロック敷設が完成し次第、実地調査を集中的に実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ロービジョン者を対象とした特性調査実験と、ロービジョン者に分かりやすく、景観に調和し、車椅子利用者に邪魔にならない点字誘導ブロックの実地試験を完成させ、新しいバリアフリーの方策を提案する。
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Research Products
(1 results)