2013 Fiscal Year Annual Research Report
ローランド型てんかん発症機構解明のためのショウジョウバエモデルの作成
Project/Area Number |
23650170
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
浜 千尋 京都産業大学, 総合生命科学部, 教授 (50238052)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 実 京都産業大学, 総合生命科学部, 助教 (40449236)
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Keywords | てんかん / ショウジョウバエ / Hig / SRPX2 / 言語失調 / アセチルコリン受容体 / シナプス / 細胞骨格タンパク質 |
Research Abstract |
ショウジョウバエのhikaru genki(hig)タンパク質は、1個のIgドメインと最大5個のCCPドメインをもつ分泌性タンパク質であり、中枢神経系のシナプス間隙に存在している。このタンパク質と類似したヒトのSRPX2タンパク質をコードする遺伝子に変異が生じると、遺伝性のローランド型てんかんや言語失調が生じることが知られている。そこで、このヒト疾患の発症機構を理解するために、hig遺伝子に注目したショウジョウバエ疾患モデルを作成することを本研究の目的とした。 今年度は、hig変異が活動性および寿命を低下させる原因を解析した。まずHigタンパク質は、中枢のコリン作動性シナプスに特異的に局在することが判明した。さらに、hig変異体では、アセチルコリン受容体のサブユニットDα6およびDα7がともにシナプス領域において減少する一方で、シナプス後部に存在する細胞骨格タンパク質であるDLGの量が増加することが判明した。すなわち、シナプス間隙タンパク質であるHigは中枢コリン作動性シナプスのシナプス後部の分化を制御していることが明らかとなった。さらに、Higタンパク質がシナプス間隙に局在するためには、分泌性のDigタンパク質が必要であることを遺伝的に解明した。したがって、HigおよびDigがシナプス間隙で相互作用し、アセチルコリン受容体の局在に影響を与えながら、中枢コリン作動性シナプスのシナプス後部の分化を制御しているという新しい知見を得ることができた。これらの結果は、SRPX2を原因とする遺伝性脳疾患の発症機構を理解する上で基礎的な知見を提供することが期待される。 また、Higタンパク質の機能を理解するために、hig変異のサプレッサー変異の分離を試み、その結果独立した2株の分離に成功している。
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Research Products
(1 results)