2012 Fiscal Year Annual Research Report
リモコン光操作による運動学習の促進と運動障害の改善への試み
Project/Area Number |
23650171
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岩井 陽一 独立行政法人理化学研究所, 神経グリア回路研究チーム, 研究員 (40332332)
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Keywords | 光遺伝学 / 運動学習 / アストロサイト |
Research Abstract |
運動学習の成立には長期の訓練を要する。運動野の経頭蓋電気刺激によって運動学習が促進することが報告されているが、どの細胞種に作用しているかは不明である。光遺伝学の進展によって、学習における特定の神経細胞の機能が近年解明されてきているが、グリア細胞の脳機能における役割はほとんど検証されていない。 光遺伝学実験を長期間行う目的で、無線のLED装置を開発した。錐体細胞でチャネル型ロドプシンを発現するマウスの運動野を麻酔下でLED照射したところ、筋活動電位および筋収縮を誘発できた。また、自由行動時においても運動野の経頭蓋LED照射は筋収縮を誘発した(Iwai et al. 2011)。さらに、野生型マウスを運動訓練時に光照射する実験から、無線LEDの装着および照射自体は運動学習に影響を与えないことを確認した。 アストロサイトはG蛋白質共役型受容体を介して多様な神経伝達物質に応答する。アストロサイトの活動を特異的に操作する目的で、光感受性のG蛋白質共役型受容体(OptoXR; Airan et al. 2009)のcDNAをアストロサイト特異的なGLT1のプロモーターの下流、あるいは、LoxPの間に挿入したコンストラクトを構築し、各々のトランスジェニックマウスを作製した。樹立したGLT1マウス5系統において、OptoXRはアストロサイトで選択的に発現しており、OptoXRの発現量および陽性のアストロサイトの割合は系統によって異なっていた。LoxPマウスにおいて、ウイルス感染でCreを発現させたアストロサイトでOptoXRが発現することを確認した。また、OptoXRマウスを麻酔下で光照射したところ、アストロサイト内のカルシウム上昇を誘発できた。現在、運動学習の各段階でOptoXRマウスの運動野を無線LEDで照射し、運動能の変化を調べている。
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