2011 Fiscal Year Research-status Report
単一神経細胞が示す入出力特性の定量的解析に向けた、ウイルスベクターの開発
Project/Area Number |
23650175
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金子 武嗣 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90177519)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日置 寛之 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00402850)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ウイルスベクター / レンチウイルス / アデノ随伴ウイルス / 遺伝子改変動物 / 経シナプストレーサー / 神経細胞 / 局所神経回路 / 定量的解析 |
Research Abstract |
中枢神経系の作動原理を理解するためには、その構造的基盤である局所神経回路の知識が必要不可欠である。本研究課題は、形態学的解析に遺伝子工学技術を積極的に取り入れ、神経解剖学の新たな方法論の確立を目指すものである。具体的には、次の二つの課題に取り組む。(A) 単一神経細胞への入力特性:Cre存在下で経シナプス逆行性トレーサータンパクを発現するウイルスベクター(Lentivirus, AAV2)を、Cre発現遺伝子改変動物に注入し、単一神経細胞への入力特性を定量的に解析する方法論の開発。(B)単一神経細胞からの出力特性:経シナプス順行性トレーサータンパクを発現するウイルスベクター、及びCre発現遺伝子改変動物を用い、単一神経細胞の出力特性を定量的解析する方法論の開発。本研究課題を通じ、神経解剖学の新たな方向性・可能性を提示したいと考えている。 H23年度は、ウイルスベクターの開発を進めた。具体的には、Cre発現細胞特異的に、目的遺伝子を発現するレンチウイルス・アデノ随伴ウイルスを作成した。予備実験として、目的遺伝子にはEGFPもしくはtdTomatoを使用し、loxPの配置によってfloxタイプとflexタイプを作成した。ウイルス液の力価については、アデノ随伴ウイルスの方が有利であったが、感染指向性が認められるといった問題もあった(部位によって、全く感染を来さない細胞種が存在した)。また、floxタイプだと下流遺伝子が、Cre非存在下でも発現することがあるという、リーク発現が問題となった。 今後は、ウイルスベクターについては両者を併用しながら、loxP配列についてはflexタイプを中心に開発を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H23年度は、ウイルスベクターの検討・選定作業が順調に進んだ。同時に、経シナプストレーサータンパク(WGAとGFP-TTC)検出系の最適化も進めた。レンチウイルスをラット線条体に注入してから一週間後、注入部位ではGFPに対し非常に強い免疫活性が認められた。一方、線条体入力源の一つである大脳皮質においては、通常のABC法ではGFPに対する免疫活性を検出することが出来なかった。TTCはexocytosisによってシナプス間隙に放出された後、endocytosisによってシナプス前ニューロンに取り込まれる。その後TTCは酸性下の小胞内に存在しながら、細胞体へと逆行性輸送される。ここで問題となるのが、酸によるGFPの変性である。そこで変性GFPに対する抗体 (Nakamura et al., 2008) を用い、高感度増感法 (PAP法→TSA法→ABC法の組み合わせ) を利用することで、GFPに対する免疫活性を大脳皮質第V層に認めるが出来た。この予備実験により、本研究課題で使用するGFP-TTCが、Lentivirusを用いた系でも確かに経シナプス逆行性輸送されることが確認できている。しかし、シナプス前ニューロンをより高感度に可視化する必要性があると考えられ、今後も染色法の検討・改良が必須である。また、WGAについても同様に検出系の最適化を引き続き検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
ウイルスベクター発現系の開発は終了したので、今後は「経シナプストレーサータンパク検出系の最適化」を引き続き行う予定である。具体的には、以下の項目について検討を行う。「ウイルスベクター注入後の生存期間」「固定法」「抗体の濃度」「増感法の工夫」などである。また、新規増感法の開発にも力を入れたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
検討に必要なウイルスベクターの作成:遺伝子工学関連試薬・プラスチック製品注入実験:成体ラット、遺伝子改変マウス維持費可視化:免疫組織化学関連試薬その他
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[Journal Article] Local connections of excitatory neurons to corticothalamic neurons in the rat barrel cortex.2011
Author(s)
Tanaka Yasuhiro, Tanaka Yasuyo, Konno M, Fujiyama F, Sonomura T, Okamoto-Furuta K, Kameda H, Hioki H, Furuta T, Nakamura K, Kaneko T.
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Journal Title
The Journal of Neuroscience
Volume: 31(50)
Pages: 18223-18236
DOI
Peer Reviewed
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