2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23650184
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤原 武志 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50546786)
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Keywords | 神経 / 軸索 / 逆行性物質輸送 / 微小管 / p53 / アルツハイマー病 |
Research Abstract |
研究期間全体を通じてアルツハイマー病などの神経変性疾患に認められる神経細胞の軸索の脆弱化(変性)を制御する新しい分子機構をラットおよびマウス海馬神経の初代培養細胞とグルタミン酸毒性の系、そして生化学,分子細胞生物学の手法を用いて解明した。得られた成果は軸索変性を制御する因子として,軸索逆行性物質輸送に関わる(1)p150Gluedと(2)ダイニン中間鎖(DIC)、そして(3)微小管の安定化、(4)がん抑制遺伝子産物p53の転写活性阻害の同定があげられる。特にp150Gluedはグルタミン酸毒性により生成されたC末端領域切断体が軸索変性を促進する一方で野生型が軸索変性を抑制し,さらにp150GluedのC末端領域切断体がアルツハイマー病患者の脳組織において認められたことから,p150Gluedを基盤としたアルツハイマー病の新たな病態形成機構を解明する糸口を見出した(J. Neurochem., 122, 2012)。最終年度においては、本研究で同定したp150Glued結合タンパク質であるベータアミロイド前駆タンパク質APPの軸索内局在をp150GluedのC末端領域切断体が障害し、またtaxolによる微小管の安定化が野生型p150Gluedとの相乗効果によりグルタミン酸毒性による軸索変性を顕著に抑制することを明らかにした(Biochem. Biophys. Res. Commun., 424, 2012)。さらに、本研究で同定したDIC結合タンパク質であるがん抑制遺伝子産物p53の転写活性阻害と微小管の安定化の相乗効果がグルタミン酸毒性による軸索変性を著しく抑制することを明らかにした(Biochem. Biophys. Res. Commun., 427, 2012)。以上の成果により、軸索変性を制御する分子機構を幅広く同定することに成功し、今後の研究基盤を確立した。
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Research Products
(5 results)