2011 Fiscal Year Research-status Report
神経極性分子SADを介したリン酸化シグナル動態とその可視化
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23650188
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
大塚 稔久 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (40401806)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | シナプス / リン酸化 / アクティブゾーン |
Research Abstract |
神経終末アクティブゾーンにおけるリン酸化シグナル伝達の可視化・イメージングのために、ウサギで作製した抗リン酸化部位CASTポリクローナル抗体のチェックを行った。ウェスタンブロットには問題なく使用できるものの、組織染色ではシグナルの検出ができなかったため、新たにモルモットにて抗リン酸化部位CASTポリクローナル抗体を作製した。本抗体でも、タンパク質レベルでCASTがアクティブゾーンに存在することを確かめた。特に、海馬、小脳、大脳皮質にて広範囲の発現が確認できた。同時に、光学顕微鏡を用いて、マウスの組織切片ならびにラットの海馬初代培養神経細胞にてシグナルの検出に成功した。リン酸化のシグナルは内在性のCASTとすべてではないが多くが共局在していた。また、他のアクティブゾーン特異的蛋白質であるbassoonとも共局在した。抗リン酸化CAST抗体は、ファミリーメンバーであるELKSのリン酸化も検出するため、一致していないシグナルは内在性のELKSを反映していると考えられた。一方、免疫電顕法ではシグナルを検出できなかったが、内在性のCAST/ELKSの局在と一致するはずなので、今後のイメージング解析に支障はないと思われる。さらに、CASTのリン酸化部位に変異を導入した遺伝子改変マウスの作製も順調に進んでおり、cre発現マウスとの交配を開始した。 アクティブゾーンの形態と構造については多くの知見が蓄積されてきているが、シグナル伝達機構、特にリン酸化・脱リン酸化の機構については依然不明な点が多い。本研究成果によって、アクティブゾーン蛋白質のリン酸化機構の解明が一気に進展する可能性も期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高力価で特異性の高い抗体の作出に成功した。本抗体を用いることによって、リン酸化シグナル伝達のin vivoイメージングへ向けた応用が期待できる
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Strategy for Future Research Activity |
作製した抗リン酸化部位CAST抗体を用いて、CASTのリン酸化がいつどこで起こっているのかについて詳細なプロファイリングを作製する。また、カルシウムイオンの刺激や各種の神経活動によって、どのようにリン酸化が制御されているのかを明らかにする(脱リン酸化も含む)。また、リン酸化・脱リン酸化によって制御を受けるCAST結合蛋白質を同定し、リン酸化シグナル伝達における蛋白質間相互作用を明らかにする。 また、個体レベルではCASTのリン酸化部位に変異を導入した遺伝子改変マウスを作製しており、本マウスの解析を通してアクティブゾーン蛋白質と精神神経疾患の発症における関連を明らかにできるような基礎データの提供を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究成果の発表や研究打ち合わせの旅費に予算を計上した。大型の備品などに関しては研究費を圧迫するために購入予定はなく、所属機関の共同設備の機器を使用予定である。また、上述の遺伝子改変マウスの作製・維持のために動物飼育費に研究費を使用する。さらに、分子生物学的実験や細胞培養のための各種消耗品に使用予定である。
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Research Products
(5 results)