2013 Fiscal Year Annual Research Report
シナプスでの核タンパク質の局所翻訳・核への移行とシナプス可塑性
Project/Area Number |
23650189
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
白井 良憲 信州大学, 医学系研究科, 助教 (70342798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 龍雄 信州大学, 医学系研究科, 教授 (80162965)
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Keywords | シナプス可塑性 / 局所翻訳 / 核移行 / 遺伝子発現 / 非翻訳領域 / mRNA |
Research Abstract |
記憶や学習の基礎となるシナプス可塑性は、刺激を受けたシナプスが特異的に修飾され、長期にわたり維持・持続することが必要であるが、その機構は全く明らかになっていない。申請者の研究室で同定されたPostsynaptic density (PSD) 近傍に局在するPSD-mRNA群には、シナプスタンパク質のみならず核タンパク質をコードするものが多数存在していた。本研究では、これらが刺激に応じて、シナプスにおいて「局所翻訳」され、「シナプスから核へと移行」し、核においてシナプス可塑性に関与する「新規な遺伝子の発現誘導」を示し、「シナプスから核への情報伝達」を介した、シナプスの可塑的変化の長期維持・固定のメカニズムを明らかにすることを目的としている。 核タンパク質をコードするPSD-mRNAのうち、転写因子Gtf2iに着目した。Gtf2iはヒトの自閉症スペクトラム障害に分類されるWilliams-Beuren症候群の原因遺伝子の一つであるが、その機序は明らかではない。mRNAのシナプスへの局在・局所翻訳にはmRNAの非翻訳領域である5'UTRが重要な役割を果たしている。Gtf2iの転写開始点の候補(CAGEデータベース)を用いた5'UTRの同定法を開発し、ラット脳ではGtf2i mRNAは異なる5’UTRを持つ8種類のmRNAが発現していることを明らかにした。これら8種類のGtf2i mRNAの細胞内局在をin situ hybridizationにより調べたところ、これら5'UTRのいくつかは神経細胞の樹状突起に局在し、Gtf2i mRNAのPSD/dendriteへの局在や局所翻訳への関与が示唆された。 この結果をもとに。Gtf2iのシナプスにおける「局所翻訳」「核への移行」「遺伝子発現」とその長期にわたるシナプス可塑性への関与を明らかにしていくことを計画している。
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