2012 Fiscal Year Annual Research Report
クルクミン系化合物を利用したアルツハイマー病の血液診断法の開発
Project/Area Number |
23650192
|
Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
遠山 育夫 滋賀医科大学, 分子神経科学研究センター, 教授 (20207533)
|
Keywords | 神経変性疾患 / 認知症 / アルツハイマー病 / 診断 / ベータアミロイド |
Research Abstract |
アルツハイマー病では、ベータアミロイド(Aβ)凝集体である老人斑の形成が最も早期におこる病理変化であることから、アルツハイマー病の早期診断には老人斑の検出が最も有効な手段と考えられる。この観点から、PETによるアミロイドイメージングの研究が行われているが、PETは高価であり放射線障害の可能性も完全には否定できない。そこで、もっと簡便・安価で侵襲が少ない診断法の開発が期待されている。我々は、ある種のクルクミン化合物が血液中ではケト型で存在するが、Aβ凝集体が存在するとケト型からエノール型になり、老人斑に結合することを見出した。本研究の目的は、このケト・エノール互変異性を利用することで老人斑の量を測定する血清診断法を開発することである。 1)磁気ビーズにAβ抗体を結合させ、血清や髄液中のAβおよびAβ凝集体と反応させた。ついで、クルクミン系化合物を加えるとAβ単体とは反応せず、凝集体のみと反応して、ケト型からエノール型に変化して強い蛍光を発し、液中のAβ凝集体の量を定量できることを示した。関連する特許を1件出願(特願2012-099685)するとともに、論文を作成中である。 2)血中に投与したクルクミン化合物は、脳内に入って老人斑に結合することから、排泄が遅延することが予想される。そこで、遺伝子改変モデルマウスおよびワイルドマウスの血中にクルクミン化合物を投与後、排泄時間を比較検討した。しかし、現在までに有意な差は見つかっていない。現在、クルクミン化合物の種類を変えて、検討中である。 3)アルツハイマー病の遺伝子組換えモデルマウスで検討したところ、脳内のアミロイド沈着量は血清のAβ量とは反比例するが、鼻に沈着したAβ量とは正比例することを見いだし、論文発表した。 成果の一部は、特許出願をするとともに国際アルツハイマー病会議で報告した。
|
Research Products
(3 results)