2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23650193
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
高橋 正身 北里大学, 医学部, 教授 (10318826)
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Keywords | ストレス / 不安障害 / モデルマウス / BDNF / 活性化アストロサイト / てんかん |
Research Abstract |
恐怖や不安は、脅威に適切に対処するために不可欠な機能であるが、それらの発現が不適切に起こると様々な不安障害が引き起こされる。不安や恐怖はストレス反応と密接に関係しているが、その脳内機序については殆ど明らかにはなっていない。我々は23年度に、強固な不安様行動を示す2つのモデルマウス系(SNAP-25ノックインマウスおよびピロカルピンマウス)を用いて、不安様行動の発症に伴って起こる脳内変化を調べ、脳由来神経栄養因子(BDNF)の発現が密接に関わっている可能性を明らかにすると共に、BDNF成熟体およびBDNF前駆体を認識する特異抗体の作成に成功した。 平成24年度には、培養細胞を用いてBDNFのプロセッシング過程を調べ、アストロ細胞ではBDNFのプロセシングが遅く、多くのBDNFが前駆体のままで貯蔵されることを見出した。さらにプッシュプルシステムを用いて、自由行動下のマウスの海馬で、脱分極刺激に伴ってproBDNFが放出されることを確認した。また不安様行動の発症とストレス反応の変化との関係を明らかにするため、上記の2つのモデルマウスのストレス反応を調べ、平常時や急性拘束ストレスを加えた直後の血中コルチコステロン濃度には有意な差は認められなかったが、1日30分間の拘束ストレスを毎日加えた場合、正常マウスでは2週以降に急性ストレス応答が減少したが、SNAP-25ノックインマウスでは1週間後に急性ストレス応答が見られなくなることを見出した。一方、不可逆的に不安様行動を生じさせたピロカルピンマウスでは、不安様行動の発症に伴い急性ストレス反応が消失している個体が出現することを見出した。今後はこれらの解析をさらに進めることで、ストレスと不安障害との関係をより明らかにすることが出来ると考えられる。
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Research Products
(8 results)