2012 Fiscal Year Annual Research Report
光学的シナプス不活化法による脳内局所神経回路の機能探索
Project/Area Number |
23650201
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
神谷 温之 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10194979)
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Keywords | 脳・神経 / 神経科学 / 生理学 / 薬理学 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
脳の神経回路網において任意の時空間パターンでシナプス機能を制御することができれば、複雑な局所神経回路網による特定のシナプス入力の活動がもつ機能的意義を理解することが可能になる。本研究では、光反応性グルタミン酸受容体ブロッカーANQXの光照射によるグルタミン酸シナプス伝達の光学的不活化法を海馬スライス標本に適用することで、海馬神経回路におけるさまざまな入力の興奮性シナプス伝達を遮断し、局所回路における各シナプス入力の機能的意義を系統的に明らかにすることを目的とした。本年度は、主要な2つの興奮性入力が異なる細胞層に分かれて存在するCA3野の神経回路に着目し、局所的な光照射を用いることで入力特異的な神経伝達の不活化を試みた。CA3野の錐体細胞には苔状線維シナプスと連合線維シナプスの2つの性質の異なるシナプスが収束する。このうち、苔状線維シナプスは透明層stratum lucidumに限局し、錐体細胞の樹状突起近位部に歯状回から投射するグルタミン酸性興奮性シナプスを形成する。また、連合線維は放線層stratum radiatuでCA3野錐体細胞からの反回性グルタミン酸性興奮性シナプスを形成する。UV(紫外線)照射の範囲をそれぞれの層に限局することで、各入力を選択的に抑制することを試みた。ANQXをCA3野に局所的に灌流し、透明層を覆う矩形状の領域に紫外線照射を与えると、苔状線維刺激によるシナプス応答は不可逆的に抑制されたが、連合線維刺激による応答は持続的に抑制されなかった。ANQXによるグルタミン酸伝達の光学的不活化法が、入力(層)特異的な光遮断の目的に利用可能であることがわかった。
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Research Products
(4 results)