2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23650205
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西野 恵里 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70523992)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 蛍光蛋白 / FRET / 電気生理 |
Research Abstract |
本研究では、ガラス電極を工夫することで動物個体脳深部から蛍光を指標として神経細胞を同定し、同時に電気活動を記録する蛍光電極法を開発することを目標としている。平成23年度は、本法を安定した実験手技として確立するための予備実験として脳切片標本を用い、実験条件を最適化した。電極の端面を研磨することで、蛍光スペクトルの背景ノイズは大きく減少した。また、FRET-Ca指示タンパクであるf2cの発現を、トリだけでなくラット、マウスの様々な部位で試すことでFRET応答を効率良く観測できた。しかし、発現効率は個体脳からの蛍光測光に応用するには未だ不十分であり、さらに工夫が必要である。こうした改善の結果、電極を通して検出される蛍光スペクトルは、蛍光蛋白を発現した神経細胞と電極先端が接近するにつれて増大した。高濃度KCl(30mM)刺激、より生理的状態に近い細胞応答として神経線維の電気刺激によるCa応答をFRET計測したところ、FRET応答の変化量、時間経過共に、従来のCCDカメラを用いたW-View測光システム(浜松ホトニクス)と同等の精度が得られた。さらに、高濃度KCl刺激によるFRET応答と細胞外活動電位を同時記録し、細胞内Ca濃度の増加に先立つ活動電位発火頻度増大が観察できた。現在の本法では、電極で捉えた蛍光シグナルを分光器を用いて波長分解し、目的の蛍光スペクトル強度を計測している。これにより、様々な背景ノイズを同定して取り除き、蛍光シグナルの効率良い検出が可能となった。しかし、分光器を用いたシステムは、蛍光シグナルを画像化するため時間分解能が低いのが欠点である。そこで現在、ホトマルを用いたシステムを作成中である。時間分解能を高めアンサンブル平均を取ることで、蛍光シグナル検出はより安定し、電気記録と細胞内物質動態の関連を詳細に解析出来ると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(2)現時点で、蛍光電極法を用いて細胞の蛍光を指標として細胞を同定し、さらにFRET計測、電気活動の計測を行うことが可能になった。これは、本法の個体脳応用への準備という平成23年度の目標にほぼ到達しており、研究はおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で脳切片標本を用いて実験条件を最適化し、蛍光測光と電気活動の同時記録が可能となった。今後は、蛍光測光の時間分解能を高めるシステムを完成させ、動物個体脳に蛍光電極法を応用することを目標とする。蛍光電極法を用いて個体脳からCa応答性のFRET計測と電気活動を同時記録することで、神経活動及び聴覚情報処理上での細胞内Caイオンの役割を1細胞レベルで解析したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
通常の電気生理学実験に用いる設備は整っているので、動物の飼育に要する経費および使用する試薬等以外には計上しない。蛍光分光装置に関しては、レーザー、計測装置などの基本的設備は整っている。本研究では、特殊な石英電極等の消耗品を購入する。
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Research Products
(1 results)