2012 Fiscal Year Research-status Report
近赤外分光法(NIRS)を使った脳機能研究に内在する皮膚血流問題の解決
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23650220
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高橋 俊光 大阪大学, 生命機能研究科, 助教 (00250704)
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Keywords | 近赤外分光法 / 脳機能計測法 / 皮膚血流 |
Research Abstract |
当初の計画では、課題による自律神経活動が引き起こす皮膚血流の時空間分布の計測を目的とし、多チャンネルの接触型Dopplerレーザ組織血流計(Doppler血流計)を用いて多点同時計測実験を行う予定であったが、交付額の都合で多チャンネルDoppler血流計を購入できず、手段を変えて目的の達成を目指すこととした。すなわち、大学病院のMRIを用いて、課題遂行中のMRI信号変化と前額部1点のみの皮膚血流変化との相関関係を調べることで、頭部全体の血流変化および、そのような課題負荷による皮膚血流変化を引き起こす脳活動を詳しく調べることとした。当該年度は、14名の健常被験者に対し、fMRI実験を行った。具体的には、MRI撮影中に言語流暢性課題を遂行中の被験者から、前額部から1チャネルDoppler皮膚血流計による皮膚血流および手指からパルスオキシメータによる血流のfMRIとの同時計測を行った。データ解析は、まず、前額部と手指のそれぞれの皮膚血流データの時間周波数解析を行い、脈波成分の振幅変化と周波数変化とに分離した。現在これらを時系列テンプレートとしてfMRIデータ解析を実施しているところである。また並行して、皮膚の血液動態モデルの構築を進めている。具体的には、光伝播モンテカルロシミュレーションによる頭皮浅層の組織の光学パラメータ変化がNIRS信号への反映のされ方を調べるとともに、一方で、頭皮血管の脳血液動態モデルを検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、多チャンネルの接触型Dopplerレーザ組織血流計を用いて頭皮血流分布の多点同時計測を行うことを計画したが、交付額が同装置を購入できる額ではなかった。そのため、代替手段として大学病院のMRI装置を用いて研究目標を達成することにしたが、途中、研究機関を異動となり、着任地でMRI装置が使用可能になるまでの手続きに時間がかかった。このことが、やや遅延の理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度であるH25年度は、これまで進めて実験および解析をまとめてゆく。(1)前額部と手指のそれぞれの、課題遂行中の皮膚血流の時間周波数特性解析を行い、fMRIデータ解析の説明変数となりうるものを特定し、頭部全体の、課題による自律神経活動に由来するfMRI信号の分布を推定する。必要に応じて補足の実験を行う。(2)また、並行して光伝播モンテカルロシミュレーション研究とともに皮膚の血液動態モデルの構築を行ない、頭皮浅部のNIRS信号とそれに含まれる脈波成分との関係を定量的に扱う方法を探る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
被験者謝金(5千円/回 x 20名)に加えMRI操作の技師の謝金(2万5千円/回 x 5回)が必要となる。また、データ解析に関わるソフトウェア(10万円)が必要になる。さらに、記録媒体等のMRIデータ収集・解析に必要となるコンピュータ周辺機材(20万円)が必要となる。
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Research Products
(3 results)