2012 Fiscal Year Annual Research Report
二者の機能的MRI―脳波―視線同時計測による社会的相互作用のシステムダイナミクス
Project/Area Number |
23650224
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田邊 宏樹 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (20414021)
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Keywords | 神経科学 / 認知科学 / 脳機能イメージング / コミュニケーション / 社会脳 |
Research Abstract |
本研究は、「現実の対面コミュニケーション場面では視線のやりとりはダイナミックで相互作用的であり今までの視線認識の研究ではとらえきれない本質が残されている」と考え、リアルなコミュニケーション場面での視線や脳活動を計測する系を構築し、二者間の視線・脳波(EEG)および機能的磁気共鳴画像(fMRI)すべて同時計測することにより、現実場面に近い社会的相互作用時の両者の関係性を脳機能と行動から解析する手法の確立を目指した。昨年度に同時計測に用いる各機器の交絡による取得データへのノイズ混入の原因を同定し計測の目処を立てたが、今年度本格的に同時計測をスタートするとまた新たなノイズ混入がみつかり前半はその対処に追われた。また途中で視線計測装置の故障がみつかり大幅な装置の改修がおこなわれたため、その間はEEGとfMRIを用いた見つめ合い時の脳活動の同時計測実験をおこなった。視線計測装置の復帰を待って、最終的に互いが見つめ合っている二者の視線・脳波(EEG)および機能的磁気共鳴画像(fMRI)すべて同時計測することに成功した。この同時計測系の確立は世界初で今後の社会脳研究に新たな地平を開くものと考える。一方、今後の課題も見つかった。1つは実験セッティングに時間がかかりすぎ(実験開始までに約2時間半)、被験者に多大な負担をかけてしまうことである。もう1つは解析において時間スケールの違うデータを扱うことになり、その対処が難しいことである。ここは今後の検討課題として残った。研究の費用対効果を含めて今後は何を目的とした実験かによって組合せを変えるなど可変的な対応をするべきであるという示唆が得られた。またここで得られたノウハウを公開・情報共有し今後のこの分野の発展に寄与できればと考えている。
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Research Products
(4 results)