2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23650226
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
中谷 和宏 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (70109388)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 亮 旭川医科大学, 医学部, 客員教授 (70054020)
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Keywords | Echinococcus shiquicus / チベット包虫 / scid マウス / 増殖形態 / 凍結保存 / in vitro / 嚢包 |
Research Abstract |
本研究は、2005年に中華人民共和国の四川省西部に位置するチベット高地において発見された新種Echinococcus shiquicus(チベット包条虫)の包虫について、その生物学的特性を多面的に追求した研究である。初年度は、当地において混在しているE. granulosus(単包条虫)ならびにE. multilocularis(多包条虫)の包虫を実験用マウスに感染させて発育比較を行った。次年度(最終年度)では、以下のように包虫の凍結保存と、in vitroでの人工培養が実施された。 ①凍結保存:scidマウスの腹腔で増殖させた包虫の嚢包をホモゲナイズし、メッシュで濾過後、凍害剤を添加したMEM培養液を1:9の割合で加えcryotubuへ1mlづつ分注してプログラムフリーザにて4℃30分、-28℃30分、-80℃30分の設定で凍結して液体窒素タンク内(-196℃)で18日間保存した。その後、凍結試料を37℃で融解し、前記培養液を加えて二度洗浄・遠心を繰り返して凍害剤を除去した。分離沈さを4.6%濃度の懸濁液に調整し、0.5mlづつBALB/cマウス10匹の腹腔へ接種して感染38週後に剖検したところ包虫の生存を確認できた。 ②In vitro培養: 感染マウスの腹腔から摘出した嚢包を、ラット肝癌細胞H-4-II-Eを供培養細胞にしてウシ胎児血清を加えたEMEM培地にて185日間(26.5週)培養したところ、直径約二倍に及ぶ嚢包の拡大、クチクラ層の肥厚、顕著な原頭節と石灰小体の形成が確認された。 チベット包条虫は、遺伝学的に本邦の北海道で蔓延している多包条虫の姉妹種とされており、包虫期のヒトへの感染が疑われている。公衆衛生上の観点からもその幼虫期である包虫の更なる生物学的特性の解析は急務であり、本研究がその端緒となるよう期待している。
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Research Products
(7 results)