2011 Fiscal Year Research-status Report
金魚を用いたポリクローナル抗体の調製プロセス開発による動物実験4Rの推進
Project/Area Number |
23650227
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
浅野 竜太郎 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80323103)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅津 光央 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70333846)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 免疫学 / 生体分子 / 蛋白質 / ポリクローナル抗体 / 金魚 |
Research Abstract |
水泡眼の水泡内リンパ液からのポリクローナル抗体の精製法の確立とキャラクタリゼーション、およびELISA法に基づく検出系の確立と免疫法に関する検討を行った。 抗体精製のリガンドタンパク質として一般的に最も汎用的に使われているプロテインAを用いた検討を行ったところ、還元条件下での電気泳動において、2つの高度に精製されたタンパク質のバンドがみられたため、それぞれ抗体の重鎖と軽鎖に対応するものと考えられ、検量線から算出したそれぞれの重合度からIgMタイプの抗体であると予想された。魚類の血清中にはIgMタイプが多く含まれるという文献等の報告とも一致している。さらにこの精製したIgMをマルチウェルプレートに固定化し、交差性が報告されている抗コイ抗体を用いて検出したところ、明確な発色が得られたため、抗体の精製と、今後のELISAを用いた検出系の確立に向けた展望が示せたといえる。 一方、免疫に関しては、当該研究室で開発したがん治療人工抗体Ex3と、その標的抗原である上皮増殖因子受容体(EGFR)をモデルとして用いて行った。一般的に行われているマウスを用いた免疫する際の抗原タンパク質量を参考にし、水泡内に直接注入し、1週間ごとにサンプリングと再免疫を繰り返し行った。サンプリングにより消失した水泡内リンパ液は次回のサンプリング時までには、ほぼ回復がみられたため報告通りリンパ液を採取し続けることが可能であることが示されたが、フローサイトメトリーで評価した結果、明確な結合活性はみられなかった。今後は、より長期間の免疫や前述のELISAと併せて迅速な評価法に関しても引き続き検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
免疫に用いるモデル抗原として、当初予定のがん治療人工抗体Ex3以外にも、上皮増殖因子受容体(EGFR)を用いた検討も進めることができたが、アジュバントを用いた検討までに至らなかったことを考慮して、おおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き精製タンパク質を用いた免疫法の開発を進めると共に、膜タンパク質抗原を強制発現させた細胞を用いた免疫法を検討する。 まず長期に渡る免疫を検討すると共に、免疫する際のアジュバントとして市販薬剤や酵母抽出液等を検討する。またより詳細に抗原特異的なポリクローナル抗体産生の経時変化を追跡し、免疫に必要な期間、効果的な免疫を誘導できるスケジュール、継続して目的とするポリクローナル抗体を取得可能な期間、再免疫によるブースト効果、さらには水泡眼の再利用、即ち抗原特異的なポリクローナル抗体の消失と新たに免疫したタンパク質抗原に対する免疫応答を観察し再利用の可能性を探る。 一方、膜タンパク質に対する抗体の取得を目指して目的膜タンパク質を強制発現させたCHO細胞を用いた免疫を行う。具体的には既に樹立しているヒト上皮増殖因子受容体(EGFR)等を強制発現させたCHO細胞を水泡内に投与する。リンパ液を採取後、ポリクローナル抗体を精製しフローサイトメトリー等で結合活性評価を行う。免疫が不十分であれば細胞数、スケジュール等、再度免疫条件の検討を行う。結合活性が確認できれば、正常なCHO細胞と反応させることで粗精製を行い、反応しなかった上澄みを、免疫に用いた抗原固定化カラムで精製する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
免疫に用いるモデル抗原として、当初予定のがん治療人工抗体Ex3以外にも、上皮増殖因子受容体(EGFR)を用いた検討も進めることができたが、ポリクローナル抗体の精製法の確立において効率的に達成できたことで生じた未使用額の一部を充当した。次年度使用額は、前述の効率的に研究推進を行ったことで生じた未使用額の残額と、免疫においてアジュバントを用いた検討までには至らなかったことで生じた未使用額であり、平成24年度請求額とあわせ、次年度に計画している研究の遂行に使用する予定である。
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