2012 Fiscal Year Annual Research Report
肥満モデルマウス脂肪組織の慢性炎症に対するDPP-4阻害薬の病態改善効果
Project/Area Number |
23650230
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久和 茂 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (30177943)
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Keywords | マウス / 肥満 / 脂肪組織炎症 / NKT細胞 / 脂肪細胞 / CD1d1 / インターフェロン-γ / 相互作用 |
Research Abstract |
前年度に、高脂肪食負荷肥満モデル(DIO)マウスでは慢性脂肪組織炎症が発症し、それに並行しグルコース耐性及びインスリン感受性が低下し、糖尿病が発症することを確認した。本研究計画は実験計画立案時にはDPP-4阻害薬のDIOに対する効果を評価することを予定していたが、Kimら(Life Sci 90:21-29, 2012)、Liuら(Acta Pharmacol Sin 33:1013-22, 2012)などにより、DPP-4阻害薬のDIOマウスの症状改善効果が相次いで報告されたため研究内容を少し修正し、脂肪脂肪組織内NKT細胞に焦点を当てて、脂肪組織炎症におけるNKT細胞の役割を検証した。 まず、インターフェロン(IFN)-γと脂肪組織炎症の関連を検証するためにIFN-γ欠損マウスと野生型マウスを用いてDIOマウスを作製し、病態を比較した。IFN-γ欠損マウスでは高脂肪食負荷により肥満はするが、耐糖能の低下が野生型に比較し経度であった。また、脂肪組織内のT細胞、NKT細胞のサイトカイン産生能を調べたところ、IL-4産生T細胞及びIL-4産生NKT細胞の割合が増加していた。これらの結果から、IFN-γは脂肪組織炎症の増悪因子であることが示唆された。 次に、野生型マウス及びインバリアントNKT(iNKT)細胞を欠くJα18欠損マウスの脂肪組織内のT細胞、NKT細胞のサイトカイン産生能を調べたところ、Jα18欠損マウスではIFN-γ産生T細胞及びIFN-γ産生NKT細胞の割合が野生型マウスよりも低く、iNKT細胞とIFN-γ産生細胞の関連が示唆された。 最後にIFN-γと脂肪細胞の分化との関連を検討し、IFN-γは脂肪細胞の分化を抑制するとともに脂肪細胞のCD1d1の発現を誘導することを明らかにした。一方、脂肪細胞に発現したCD1d1はNKT細胞のIFN-γ産生を増強した。
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Research Products
(5 results)