2012 Fiscal Year Annual Research Report
内在変異蓄積法による新たな量的デザインマウスの開発
Project/Area Number |
23650234
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
八木 健 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (10241241)
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Keywords | 進化 / 疾患モデル / 突然変異 / マウス / 量的形質 / ゲノム / 表現型 |
Research Abstract |
生殖系列で発生する突然変異は、ゲノム進化の源泉であり、種々の疾患の原因にもなる。しかしながら、生殖系列の変異が世代経過とともに蓄積される過程や、それらが後世代の個体の表現型に及ぼす影響、さらに、それらの遺伝子多型間の相互作用など、今なお不明な点が多く残されている。本研究では、これまで作製した内在的に遺伝子変異を高発するマウス系統を複数の系統に分け、兄妹交配を繰り返し、6年間で最大19世代の継代を進めてきている。その結果、これまでに40種の新規表現型をもつ変異マウスを得ることに成功した。この中には従来のミュータジェネシスなどでは得ることができなかった「小鳥のように鳴く変異体」、「四肢が短い変異体」、「指の数が減少した変異体」も得られ、新たな生命デザインをもたらす系であることが明らかとなった。また、産仔の量的形質(体重、体長、尾長)を測定したところ、独立に継代を重ねた系統間で有意な差が認められた。さらに、長期継代したMutator系統では、繁殖能力の低下が認められ、遺伝的背景が近いと考えられる同一系統内の個体間で量的形質(体重、体長、尾長、血液生化学検査)のばらつきの増大も観察された。このことは、長期継代での変異蓄積により生じた、個体発生を支える遺伝的バッファリングの緩和を示唆する結果であると考えられ、興味深い。更に、新型シーケンサを利用して17世代が経過したmutator系統のマウス1匹分の全ゲノム配列の解読を行い新たな変異の蓄積が確認されており、我々の系が変異蓄積の系であることを確かめることができた。
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Research Products
(7 results)