2011 Fiscal Year Research-status Report
日本産愛玩用マウス系統JF1の行動従順化に関わる遺伝子解析
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23650243
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
小出 剛 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 准教授 (20221955)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | マウス系統 / 愛玩化 / 毛色 / 遺伝子 |
Research Abstract |
研究の目的私たちは、日本産愛玩用マウス由来の系統として本研究所で樹立され、一般的な実験用系統とは遺伝的に大きく異なるJF1系統を用いて従順化に関わる遺伝子の同定を進め、そのJF1を行動遺伝学研究に適した我が国を代表するリソースとするために、その基盤の確立を目指して研究を進めている。これまでに、Agouti遺伝子座と咬みつき行動との関連を調べるために、JF1系統にAgouti遺伝子座(遺伝子型はA/A)を導入した系統とMSM系統に黒の毛色(遺伝子型はa/a)を導入した二種類のコンジェニック系統を作成してきた。すでに世代としては5世代を経過しており、順調にコンジェニック系統樹立が進んでいる。また、JF1にMSM由来遺伝子座を戻し交配し、一部のMSM由来ゲノム領域がランダムにJF1系統のゲノムにもぐりこんだマウスを作製している。これらのマウスにおいて、人に対する従順性の低下、咬みつき行動の上昇、捕捉刺激に対する逃避性の上昇を指標にして、強い選択交配を行う準備を進めている。こうして作製したマウスを用いて、H24年度は実際の行動研究を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今後の研究に向けた毛色変異を導入したマウス系統の作製は順調に進んでいる。すでに世代も順調に進んでいるため、今後は実際にこうしたマウスを用いた行動研究を進めることが可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は毛色変異を導入したマウスリソースを用いて、実際に行動特性についての解析を進める。また、遺伝子の導入やそれに代わる方法により、毛色関連遺伝子の発現量を操作する実験を実施する。これらの実験により、毛色関連遺伝子がどのように行動に関与しているか解明できるものと期待される。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・マウスを用いた遺伝学的解析にあたって、本年度は年間約500頭のマウスを飼育する。そのための飼料などを購入する。実験における塩基配列解析、リアルタイムPCR解析などにおいて消耗品を購入する。・H24年度は、レンチウィルスを用いた遺伝子導入実験を行う。そこで使用するレンチウィルス作製のために、培養細胞使用する必要がある。培養細胞用試薬や培地などを購入するために、物品費を使用する。・国内の他大学や研究機関の研究者と、研究打ち合わせを積極的に進める。そのための国内旅費を使用する。研究成果を発表し広く情報交換を行うために、国内学会に参加する。そのための旅費として予算を使用する。・研究成果を論文などで発表する。そのための英文校正費として謝金としての予算を使用する。研究成果を論文として発表するための投稿料として「その他」の予算を使用する。
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