2011 Fiscal Year Research-status Report
光ピンセットを利用した細胞間相互のメカノバイオロジー
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23650256
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
益田 泰輔 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任助教 (30431513)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | バイオメカニクス / 力学刺激応答 / 細胞間相互作用 |
Research Abstract |
本研究では,基板に接着している細胞群を隣り同士の結合状態を維持したまま剥がして基板との接着力の影響を排除し,光ピンセットを使って細胞-細胞間へ純粋に力学刺激を与える方法を提案することを目的としている.23年度は,シート状にした積層細胞群の作製とその積層細胞への力学刺激方法の検討を行った.シート状にした積層細胞は一つ一つの細胞表面にナノオーダーの細胞外マトリックス(ECM)膜を形成し,それにより細胞間相互作用を促進させることによりシート形状を維持した.ECM膜はフィブロネクチン(FN)とゼラチン(G)から構成されており,0.04 mg/ml FN/Tris-HCl緩衝液(50 mM,pH=7.4)及び0.04 mg/ml G/Tris-HCl緩衝液(50 mM,pH=7.4)に細胞を交互に浸漬することにより細胞表面に形成された.そして,これらの細胞を適切な細胞密度で播種することにより,培養器の底面形状に応じた積層細胞を得ることに成功した.一方,シート状にした積層細胞への力学刺激方法について,当初,光ピンセットで細胞シートに設けたトラップ点を把持し引張力・圧縮力を負荷するモデルを検討していたが,23年度は,それらに加えフェムト秒レーザーによる細胞損傷による力学刺激モデルの検討を行った.その結果,レーザーによる核膜の損傷を観察し,その後の正常治癒の考察が得られた.これらは24年度で引き続き検討していき,Ca+,タンパク質,サイトカインのリアルタイム観察から損傷細胞と正常細胞との細胞間コミュニケーション機序の解明を目指す.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画にあったシート状積層細胞の作製方法が確立したこと.さらには申請段階では含めていなかったレーザーによる細胞損傷刺激による細胞間応答のように,申請書段階にはなかった展開が期待できることから.
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Strategy for Future Research Activity |
GFP(Green Fluorescent Protein)発光タンパク質を導入した細胞,またはCaインヒビター導入細胞のリアルタイム観察を行う.リアルタイム観察には既存の高焦点深度実体蛍光顕微鏡に,新たに細胞培養ユニットを導入し顕微鏡下でのリアルタイム観察を行う.さらにはマイクロ流体チップを用いて薬物代謝試験,または血管内皮細胞と平滑筋細胞の共存培養系で流れによるせん断応力負荷などを提案する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
設備備品として細胞培養ユニットの導入の予定.消耗品は,マイクロ流体チップデバイスの製作費および細胞培養・生化学試薬類など.
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