2012 Fiscal Year Annual Research Report
細胞間相互作用の研究また組織再生に用いる細胞マニュピュレイション方法
Project/Area Number |
23650257
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩田 博夫 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (30160120)
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Keywords | 単鎖DNA / 接着剤 / 細胞接着 / 細胞凝集体 / リン脂質 / Pottsモデル |
Research Abstract |
脂質-ポリエチレングリコール-オリゴDNA複合分子(ssDNA-PEG-lipid分子)を用いた細胞のマニュピュレイション法の研究を行った。 (1)細胞表面への種々の薬物の固定法:ssDNA-PEG-lipid分子で細胞を処理することで細胞表面にssDNAを提示させ、一方、タンパク質また薬物を担持したリポソームにssDNAの相補配列を有するssDNA’を固定し、ssDNAとssDNA’の相補対形成を用いて細胞表面にそれらを固定した。この応用として、膵島移植時に起こる炎症反応に起因する移植膵島の傷害を防止できることを示すことができた。また、血管内皮細胞へのビタミンEの導入にも成功し、臓器移植時の再潅流傷害の防止にも役立つ可能性を示すことができた。 (2)細胞表面への常磁性鉄微粒子の固定:移植細胞の存在を非侵襲でフォローアップしたい。ssDNA-PEG-lipid分子を用いて膵ランゲルハンス島(膵島)表面にssDNAを提示させ、一方、常磁性鉄微粒子表面に相補配列を有するssDNA’を固定する。両者を混合することで膵島表面に常磁性鉄微粒子を固定化した。1.5TのMRI装置を用いて観察したところ、極めて明瞭に膵島をイメージングできた。 (3)細胞間相互作用研究への展開:ガラス基板上にシランカップリグ剤を用いてマレイミド基を導入し、その上に末端にチオール基を有するssDNAを固定した。この表面にssDNA’-PEG-lipid分子で処理した細胞を播種することでガラス基板の所定の位置に細胞を固定化できた。この細胞アレイを用いて細胞間相互作用の研究が容易にできるようになった。 ssDNA-PEG-lipid分子を用いることで、極めて多様な目的に使える細胞マニュピュレイション法を確立できたと考える。
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