2011 Fiscal Year Research-status Report
血清アルブミン結合分子の受精卵培養への影響・分析システムへの展開
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23650262
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松浦 宏治 岡山大学, 異分野融合先端研究コア, 助教 (70443223)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ヒト血清アルブミン / ビリルビン / 重金属 / 受精卵培養 |
Research Abstract |
患者由来の血清由来アルブミン(HSA)を生殖補助医療における受精卵培養などの用途で使用するにあたり、HSAに小分子有機化合物や金属イオンが結合しているため、その有機化合物や金属種を確認しておくことは重金属による影響の有無を確認する上で重要である。HPLCで有機化合物の定量化、および、ICP発光分析等で金属イオンの定量化は可能であるが、医療現場では比色法などの簡単かつ安価な手法で確認することが望ましい。そこで、HSAに結合している分子であるビリルビンと金属イオンに着目して、<1>ビリルビン評価・除去方法について検討し、<2>比色法で結合している金属イオン種を評価した。<1>ビリルビン結合型成分を除去するために、低温エタノール法を用いてヒト血清からビリルビン非結合型HSAの精製を試みた。HSAの吸収はエタノール濃度35%で消失した。また、SDS-PAGEからはグロブリンも沈殿に含まれていたため、不要なグロブリンとビリルビン結合型HSAを除去可能であった。このビリルビン結合型HSAをmW培地に1/10添加した培地でマウス受精卵を2細胞期から培養を開始した結果、rHSA添加区における発育は阻害されなかった。今後は、吸収スペクトルを測定することなくビリルビンの濃度を推定できる分析法を開発する。<2>我々は金属イオンおよびzinconなどのキレート剤の両方がHSAに結合し、HSA内での錯形成反応を確認した。この手法を利用することにより、HSAに吸着した金属、特にHSA内のMulti Binding Site (MBS)に結合しているZn2+の有無を評価することが可能である。ヒト血清の場合はCu2+の結合はzincon由来の色の変化で検出できる程度ではなく、MBSには主にZn2+が結合していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床現場で受け入れられる分析システムの目途がついた。(試験紙ベースで開発)血清アルブミンに含まれる色素ビリルビンを除去でき、その結果、比色法による重金属の簡易分析が容易になった。微量過酸化脂質・結合薬剤等の微量分析法については、今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
重金属および蛋白質濃度等の分析システムは、試験紙ベースで開発することを試みる。低温エタノール法で精製して色素ビリルビンを除去した後の血清アルブミンについて比色法を主に用いる計画である。微量過酸化脂質に関する簡易分析法については比色法に基づく良い発想を生み出したく考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
試験紙ベースで分析システムのコストを低下できることが判明したために、遠心分離機と研究補助員の人件費に主に使用する計画である。
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