2012 Fiscal Year Annual Research Report
血清アルブミン結合分子の受精卵培養への影響・分析システムへの展開
Project/Area Number |
23650262
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松浦 宏治 岡山大学, 異分野融合先端研究コア, 助教 (70443223)
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Keywords | ヒト血清アルブミン / ビリルビン / 受精卵培養 / 重金属イオン |
Research Abstract |
血清、市販の標品を含む精製ヒト血清アルブミン(HSA)内に特異的または非特異的に吸着・結合している分子を評価するために、DART-MS法によって、試料液滴をイオン化させる手法で分子量1000までの小分子の検出を試みた。その結果、コレステロールとビリルビン(あるいはその誘導体)に由来するシグナルが検出された。ビリルビンを除くためにはエタノールをHSAに添加すると、ビリルビン結合HSAが選択的に沈降しやすいことを見出した。エタノール25から40%と5%ごとに振ってみた際には、ビリルビン結合型HSAの吸収はエタノール濃度35%で消失した。また、SDS-PAGEからはグロブリンも沈殿に含まれていたため、不要なグロブリンとビリルビン結合型HSAを除去可能であった。マウス受精卵培養時には問題なく胚盤胞まで発育し、かつ、フルオレセインで蛍光標識したウシ血清アルブミンが胚盤胞内で観察された。このことから、受精卵は発育時にアルブミンを取り込むと考えられる。マウス受精卵の場合はHSAに結合分子(この場合は蛍光色素)があっても問題なく発育すると想定される。しかしヒト受精卵培養の場合には、コレステロールやビリルビンといった結合分子を受精卵培養に影響を与える試薬であるエタノールや塩を添加せずに取り除くことは困難であるために、患者本人の血清からHSAを精製して受精卵培養に積極的に使用することは好適でないと判断した。
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