2012 Fiscal Year Annual Research Report
血液流れのせん断応力による血小板活性化のリアルタイム計測と血栓形成のモデル構築
Project/Area Number |
23650268
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
玉川 雅章 九州工業大学, 生命体工学研究科(研究院), 教授 (80227264)
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Keywords | 血栓 / せん断流れ / 可視化 |
Research Abstract |
本研究では,血栓現象を(1)血小板の活性化,(2)活性化された血小板の輸送,(3)血小板の付着と高分子化の3ステップと考え,このうち,特に(1)の血小板の活性化におけるせん断速度依存性を実験によって得ることを目的としており,本課題遂行により以下のことが明らかとなった. 1.血小板に作用するせん断応力(一定せん断応力)による血小板変形挙動と活性化機能変化については,回転粘度計を改良した微小隙間の2次元クエット流れ生成装置を開発し,この狭い隙間の流れにおいて,100-200(1/s)までの平均せん断速度を与え,これまでの血栓形成実験と同様に,赤血球を除いた血液の流れを可視化した結果,このせん断速度においても,相対的にアクリル樹脂よりも吸着度が高いアルミ金属表面ではあるものの,血栓形成が壁面より認められた.また,その速度についても,壁面の材料依存性(吸着度依存)はあるものの,定性的には,これまでのはく離せん断流れと同様の傾向,すなわち,せん断速度が高いほど血栓形成速度(血栓成長の無次元時間変化)が上昇するという結果が得られた. 2.一方,本課題の中での最も挑戦的な部分である機能変化の発光ならびに蛍光観察については,せん断速度が高い流れ場でのイクオリン発光強度がかなり低く,各種実験手法や装置の改良は試みたものの,せん断速度を変化させたときの結果が,S/N比で有意差が得られないほど微弱であった.したがって,一定せん断速度のクエット流れにおいての血小板の活性化そのものの瞬間的な発光・蛍光観察に対しては,今のところバックグラウンド画像に対して,場所や瞬間的な観察像を得ることができていないが,引き続き,光学的経路とカメラの改良を行うことによって,反応係数を求めるためのイクオリン発光と蛍光指標を捕らえる実験を継続中である.
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