2011 Fiscal Year Research-status Report
新規概念エレクトロニックシャペロンを活用した新しい疾患予防法の開発
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23650269
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
甲斐 広文 熊本大学, 生命科学研究部, 教授 (30194658)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 微弱電流 / 脂質ラフト / インスリン受容体 / ポドサイト |
Research Abstract |
本研究の目的は,"エレクトロニックシャペロン"という今までにない新しい概念を提唱し,実証することである.これは,Nature(2006年)に掲載された論文及び申請者らの最近の成果から至った発想である.エレクトロニックシャペロンとは,電流がシャペロンのようにタンパク質の機能発現に貢献することを指し,電流の作用メカニズムの解明が究極の目的である.これまで,電流は炎症及び痛みの軽減,骨折の治癒促進など多くの医療に応用されてきたが,その分子メカニズムは不明であり,近年,細胞に対する効果も報告されつつあるが,その標的分子の同定には至っていない.本研究は,電流という物理刺激が生体にもたらす有効性を示すとともに,科学的根拠による裏付けを行うことで基礎及び応用の両面における新規技術の提唱を目指す。具体的には,申請者らが同定した特定の周波数,最適なパルス幅を有する矩形波の微弱電流(以下,MES)の生体に与える作用についての詳細な検討を行う.今年度は、まず、ラフト依存性の活性が様々な細胞でも再現できるか検討した。その結果、ラフト依存性である細胞は限られることがわかった。さらに、脂質ラフト領域の単離方法が報告されているため(Cancer Res, 2006),この手法により,実際にMES処置によって脂質ラフト領域のインスリン受容体が増加しているか検討した結果、予想通り、局在化していくことがわかった。蛍光相関分光法(FCS)とスペクトラム解析付きレーザー共焦点顕微(ConfoCor2)を用いた一分子可視化技術を活用した検討については、GFP標識インスリン受容体の発現ベクターがうまく使えないことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MESによるラフト局在化を生化学的に証明することができた。しかし、蛍光相関分光法(FCS)とスペクトラム解析付きレーザー共焦点顕微鏡(ConfoCor2)を用いた一分子可視化技術を活用した検討では、その挙動を観察段階までいかなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、予定通り、慢性腎臓病のターゲット細胞でもあるポドサイトを用いた検討を行う。すなわち、ポドサイトにおいて,MESがインスリン受容体を活性化し得るか検討する.これまで,糖尿病性腎症の発症過程において,インスリン受容体を介したシグナルが重要であることはほとんど知られていなかった.したがって,ポドサイトにおけるインスリンシグナルの役割も含めて明らかにしたい.さらに,MESがAktの活性化を介してポドサイトのアポトーシスを抑制する可能性は十分に考えられる.そこで,MESが高グルコース誘導性のポドサイトのアポトーシスを抑制できるか検討する.抑制が認められた場合には,Akt阻害によりMESの効果が消失するか,ポドサイトのアポトーシス測定法及び濾過機能測定法により評価する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ポドサイトの培養と生化学的な解析が主体であるため、昨年度と同様な消耗品費として研究費を使用していく。また、学会等での発表の出張費としても活用していく。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Hyperthermia With Mild Electrical Stimulation Protects Pancreatic β-Cells From Cell Stresses and Apoptosis.2012
Author(s)
Kondo T, Sasaki K, Matsuyama R, Morino-Koga S, Adachi H, Suico MA, Kawashima J, Motoshima H, Furukawa N, Kai H, Araki E.
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Journal Title
Diabetes.
Volume: 61(4)
Pages: 838-847
Peer Reviewed
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[Journal Article] Glucose Uptake in Rat Skeletal Muscle L6 Cells Is Increased by Low-Intensity Electrical Current Through the Activation of the Phosphatidylinositol-3-OH kinase (PI-3K) / Akt Pathway.2011
Author(s)
Yano S, Morino-Koga S, Kondo T, Suico MA, Koga T, Shimauchi Y, Matsuyama S, Shuto T, Sato T, Araki E, Kai H.
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Journal Title
J Pharmacol Sci.
Volume: 115(1)
Pages: 94-98
Peer Reviewed
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