2012 Fiscal Year Annual Research Report
早期糖尿病における糸球体濾過障害の分子生物学的解明
Project/Area Number |
23650278
|
Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
仲本 博 川崎医科大学, 医学部, 助教 (10299183)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢田 豊隆 川崎医科大学, 医学部, 講師 (00210279)
小笠原 康夫 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (10152365)
|
Keywords | 糖尿病 / 糸球体濾過 / C-peptide / ポドサイト / スリット膜蛋白 / ネフリン / ポドシン / CD2AP |
Research Abstract |
糖尿病は、今や我が国の医療の最重要課題の一つである。長期に渡る糖尿病が腎不全を誘発し、透析導入の第一原因であることは良く知られている。 我々が共焦点顕微鏡によってin-vivoで糸球体濾過を定量化して比較したところ、糖尿病ラットでは、40k、70kの高分子量のデキストランが糸球体から相当量漏出することを見いだした。これまで生理学的活性をもたないとされていたC-peptide が、この過剰濾過と蛋白漏出を是正することも確認した。 本研究の目的は、生理的な条件下での、早期糖尿病の過剰濾過を分子レベルで可視化するだけでなく、スリット膜に蛍光抗体法を適用しそのメカニズムからC-peptide の作用も含めて解明することである。本研究では、この糸球体からの高分子量物質の漏出の理由を明確にするために、通常のコントロールラットと早期糖尿病ラットを対象として、nephrin、CD2APのようなスリット膜を構成する蛋白質を蛍光抗体法により染色し、共焦点顕微鏡を用いてそれぞれの蛋白分布と局在を調べることで早期糖尿病における濾過膜の変化を検討した。 糖尿病ラットは、WisterラットにSTZを投与し作成した。糸球体濾過構造の変化の比較では、コントロールラット、糖尿病ラットの両群から得られたnephrin、CD2APの染色画像を数値化することで評価した。数値化としては、二値化処理を行い、各蛋白質の染色部位の面積率を論理計算で算出した。その結果、コントロールラットと対照的に糖尿病ラットでは染色が不均一となっており、 罹病期間が長くなるにつれて不均一性が増加した。このことは、糖尿病による糸球体スリット膜の構造上の変化を指し示し、早期糖尿病における糸球体レベルでの高分子量物質の漏出の原因と考えられた。しかし、その漏出を是正する、C-peptideは構造そのものには関与しないことが分かった。
|
Research Products
(5 results)