2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23650281
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
井奥 洪二 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (60212726)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上高原 理暢 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (80362854)
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Keywords | セラミックス / ナノチューブ / 水酸アパタイト / バイオアクティブ / 水熱法 |
Research Abstract |
バイオアクティブ・ナノチューブとして、生体親和性に優れた水酸アパタイトからなるナノチューブの作製を試みた。炭酸カルシウムの結晶相の一つであるカルサイトとリン酸水溶液を、温度とpHを制御した条件下で混合し、その後適切に温度を制御することによって、水酸アパタイトナノチューブの作製を試みた。当初、テンプレート法も合成法の候補として検討していたが、テンプレート法ではテンプレートの除去が必要となるために、直接水酸アパタイトナノチューブが得られる可能性のある本方法を用いることとした。出発物質であるカルサイトの特性が生成物に与える影響を調べるために、一次粒子の粒子径が異なるカルサイトを用いて実験を行った。その結果、カルサイトの粒子径は、生成物の結晶相と形状に大きく影響し、粒子径が小さいほど生成物の結晶相がカルサイトから水酸アパタイトになりやすくなり、しかも、一次粒子の粒子径が1 μm以下の場合のみにおいて、チューブ状の粒子を得ることができた。チューブ状粒子の生成過程としては、板状の前駆体が生成し、それが折りたたまれているような様子が電子顕微鏡観察によって確認された。これらの実験結果から、水酸アパタイトナノチューブの作製に関しての知見を得ることができた。ただし、得られたチューブ状粒子は、結晶相においては水酸アパタイト単相ではなく、また、形状としてはチューブというには不完全であり不定形粒子の混在も確認された。現状では、水酸アパタイトナノチューブの作製の可能性、および生成メカニズムの一端を明らかにすることができているので、今後さらに研究を遂行し、より精巧な水酸アパタイトナノチューブの作製方法の確立を目指す予定である。また、電気泳動法の応用によってナノチューブを作製できる可能性が見出されたため、この方法による作製についても検討を続けることを計画している。
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Research Products
(6 results)