2012 Fiscal Year Research-status Report
生体内崩壊性材料を利用した弾性率漸減型インテリジェント骨固定材の開発
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23650283
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野村 直之 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90332519)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土居 壽 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (30251549)
堤 祐介 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 准教授 (60447498)
蘇 亜拉図 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (80611532)
中本 貴之 地方独立行政法人大阪府立産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (40393300)
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Keywords | 弾性率漸減材料 / 生体内崩壊材料 / 骨固定材 / 生体材料 / バイオマテリアル |
Research Abstract |
本研究では、骨折固定の初期に高い弾性率を保持し、固定時間の増加とともに弾性率が漸減して骨と同等の弾性率へと変化する「弾性率漸減型インテリジェント骨固定材」を開発し、弾性率が漸減可能であるかを確認する。その上で得られた弾性率や弾性率減少速度を試料作製プロセスにフィードバックし、弾性率の制御を試みる。平成24年度では、レーザー積層造形法を用いて皮質骨と同等の弾性率を有する角柱状金属多孔体を作製することを試みた。7×7×35mm3の直方体の中に直径1から1.2 mm の円柱形状の気孔を1mm間隔に3軸方向に直交するように配置した3次元モデルを作成した。水アトマイズ法により作製したCo-29Cr-6Moの粉末をレーザー積層造形装置に使用した。レーザー積層造形の条件は、出力150W、スキャン間隔0.2mm、積層厚さ0.05mmとし、スキャン速度は100 mm•s-1とした。造形体の気孔率は積層造形体の体積および重さから算出した。 ポア直径を1.0、1.1、1.2mmとして作製した多孔体の気孔率はそれぞれ49.9%、56.0%、62.1%であり、モデルの気孔率より高い値を示した。これは造形体内部のチャンネルの寸法変化や、チャンネル以外の造形部における気孔の存在に起因する。積層方向に対して平行な方向に対しては、気孔は円柱形状を保ったが、垂直な方向では円柱形状とはならなかった。これはレーザー照射による熱影響部が粉末一層分より厚いため、深さ方向の粉末を焼結したことが原因として挙げられる。弾性率と気孔率の関係においては、気孔率が高くなると多孔体の弾性率が均質化法のシミュレーション値よりも低い値を示した。これは多孔体側面の気孔形状がモデルの気孔形状と異なったことが大きく寄与していると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度レーザー積層造形を行った条件を基に、立方体形状から直方体形状を有するコバルトクロム多孔体の作製を行った。粉末焼結体では得られにくい、三次元に直交する円柱状の気孔を直方体状の金属内に形成することが可能となった。また、昨年度は5mmまでの高さにおいて[100]結晶配向を確認しているが、35mmの高さまでその傾向が持続することが判明した。この傾向は緻密体と同様であり、気孔が存在しても配向性が維持されることを示している。 平成24年度の研究予定では、TCPを始めとした生分解性セラミックスを気孔内に導入し、複合化を行う予定であったが、積層造形体の大型化およびその組織学的解析を中心に研究を進めたために、全体では、やや遅れていると評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、昨年度作製に成功した多孔体内部に、TCP粉末を複合化させる。円柱の直径を変化させた多孔体にTCPを導入し、焼結することで、弾性率の変化を観察する。弾性率測定には、自由共振法による評価に加え、3点曲げ試験による測定も行う。 また、生体内崩壊材料の作製と弾性率変化について調べる。α-TCP、β-TCP、HApの各粉末試料を準備し、それぞれをプレス機により直径10 mm、高さ8 mmのタブレット状に成型し、放電プラズマ焼結を行う。焼結温度は773 Kから1473 K、保持時間は600 sとする。これらの試料をpH 5に調節したHanks溶液中に、それぞれ21日間浸漬する。浸漬前後の各試料に対して、自由共振法を用いた弾性率測定装置を用いて弾性率を測定し、曲げ試験を行うにより曲げ強度の変化についても調べる。これにより、それぞれの材料の崩壊による弾性率減少速度が明らかとなり、多孔体に導入する材料選択の指標とすることができる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品として、積層造形の際に土台として必要な金属プレートや研磨材等の消耗品も引き続き購入する。また、各種生分解性セラミックス粉末を購入する。これらの粉末を焼結するためのカーボンモールドを購入する。旅費には、レーザー積層造形のための装置使用料や交通費および宿泊費を計上している。また、研究成果を学会にて報告するための旅費を計上している。謝金には、研究成果を論文投稿するための英文校正の費用を計上している。その他には、組織観察に使用する電子顕微鏡使用料を計上している。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Microstructures and mechanical properties of Co-29Cr-6Mo alloy fabricated by selective laser melting process for dental applications2013
Author(s)
A. Takaichi, Suyalatu, T. Nakamoto, N. Joko, N. Nomura, Y. Tsutsumi, S. Migita, H. Doi, S. Kurosu, A. Chiba, N. Wakabayashi, Y. Igarashi, and T. Hanawa
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Journal Title
Journal of the Mechanical Behavior of Biomedical Materials
Volume: 21
Pages: 67-76
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] レーザー積層造形法により作製したコバルトクロム合金の機械的特性に及ぼす窒素添加の影響2012
Author(s)
蘇亜拉図, 野村 直之, 高市 敦士,中本 貴之, 土居 壽, 堤 祐介, 黒須 信吾, 千葉 晶彦, 若林 則幸, 五十嵐 順正,塙 隆夫
Organizer
日本金属学会2012年秋期講演大会
Place of Presentation
愛媛 愛媛大学
Year and Date
20120917-20120919
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