2012 Fiscal Year Research-status Report
高機能性スーパーファイン紙のようなバイオペーパー用ゲルの開発と再生医療への応用
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23650285
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩永 進太郎 東京大学, 生産技術研究所, 特任研究員 (70587972)
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Keywords | 国際情報交換 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に作製した疎水化アルギン酸に対して物理架橋点を有する生体由来分子の修飾を行った。疎水性基を包摂可能なα-シクロデキストリンをゼラチン分子に修飾したものを作製した。作製したシクロデキストリン修飾ゼラチンと未修飾ゼラチンの水溶液を作製し、それぞれにコレステロールを加えたところ、未修飾ゼラチン水溶液ではコレステロールが凝集していたのに対し、シクロデキストリン修飾ゼラチン水溶液ではコレステロールが水溶液中に分散することを確認した。これにより、シクロデキストリンの修飾が成功したと考えられる。 また、細胞成長因子として線維芽細胞増殖因子(FGF)と上皮細胞増殖因子(EGF)に同様にシクロデキストリンを修飾したものを作製した。作製したシクロデキストリン修飾FGF及びEGFの生理活性をELISAを用いて評価した。未修飾の増殖因子に対して、シクロデキストリン修飾増殖因子はその活性をほぼ失うことなく有していることが確認された。 疎水化したアルギン酸とシクロデキストリン修飾ゼラチンをそれぞれ所定濃度で水溶液にし、混合することでゲルができるかの検討を行った。様々な濃度での検討を行ったが、2種の溶液を混合するのみではゲルの作製は行われなかった。アルギン酸及びゼラチンへの修飾率が最適化されていないことが原因であると考えられる。 本年度は、本研究に関連する内容にて大阪大学で開催された、第78回化学工学会にて研究発表をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
物理架橋によるゲル形成には至っていないが、シクロデキストリンを修飾したゼラチンで疎水性物質の可溶化が観察されたことからも、修飾自体はうまくいっていることが示唆される。あとは各ポリマーへの修飾率を変化させることで、目的の材料を作製することが可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度では実際に作製された材料で細胞培養を行う。現状ではシクロデキストリンによる十分な物理架橋点の形成には至っていないが、アルギン酸自体はカルシウムでゲル化可能であるため、様々な物質を吸着可能なゲルの作製は可能になっている。そこで、シクロデキストリンを修飾した増殖因子を吸着させたゲル材料にて細胞培養を行い、コントロールと比較する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度では細胞培養関連の消耗品の購入、及び研究成果発表のための旅費に研究費をあてる。
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