2013 Fiscal Year Annual Research Report
高機能性スーパーファイン紙のようなバイオペーパー用ゲルの開発と再生医療への応用
Project/Area Number |
23650285
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩永 進太郎 東京大学, 生産技術研究所, 特任研究員 (70587972)
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Keywords | 組織工学 / バイオマテリアル / インクジェットプリンタ / バイオインク / バイオペーパー |
Research Abstract |
本研究では、インクジェットプリンタを用いた組織工学に向けて、その中核をなすバイオインク及びバイオペーパー用材料を新規に合成し、機能性ゲルの開発を行った。吐出に最適なインクとして、瞬時にゲル化するアルギン酸をベースにし、コレステロールやアダマンタミンを修飾することで疎水化を行った。疎水化アルギン酸は水溶液中でナノ粒子を形成し、未修飾のアルギン酸と比較して粘度が低下した。また、疎水化したアルギン酸溶液に細胞を懸濁し、塩化カルシウム中にてゲル化したのちに培養を行ったところ、ゲル化直後で90%以上の生存率を確認した。また、培養日数ごとに細胞の生死判定を行ったが、培養4日目でも80%以上の細胞の生存が確認された。 一方で、ゼラチンにα-シクロデキストリンの修飾を施した。初めに、シクロデキストリンをモノクロロ酢酸で処理し、カルボキシメチル化を行った。作製したカルボキシメチルシクロデキストランをゼラチンに修飾することで、シクロデキストラン修飾ゼラチンを作製した。このシクロデキストラン修飾ゼラチンを生理食塩水に溶解し、疎水化アルギン酸溶液と混合したところ、緩やかではあるがゲルが形成された。このことから、シクロデキストリンがアルギン酸の疎水基を包摂し、物理架橋が形成されたことが示唆された。 次に、未修飾アルギン酸溶液及び疎水化アルギン酸溶液をスピンコートし、塩化カルシウム溶液に浸すことで、アルギン酸ゲル膜を作製した。作製したゲル膜上にFITCでラベル化したシクロデキストリン修飾ゼラチンをPDMSを用いてスタンプしたのちに、生理食塩水で洗浄し、顕微鏡で観察をした。さらに、そのゲル膜上で細胞培養を行った。その結果、未修飾アルギン酸上にはゼラチンがスタンプされず、また細胞も全く接着していなかったのに対し、疎水化アルギン酸ゲル膜上ではゼラチンがしっかりスタンプされており、細胞がパターン状に接着していることが確認された。
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