2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23650291
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
川上 浩良 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (10221897)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | エピジェネティクス / DNAメチル化 / ヒストン修飾 / クロマチン / 高分子 |
Research Abstract |
本研究では、エピジェネティクス因子の(1)DNAのメチル化、(2)ヒストンの翻訳後修飾、(3)クロマチ構造、を工学的に制御することにより、全く新しい遺伝子発現制御に繋がるエピジェネティクス工学を確立することを目的とする。(I) Cell Free系in vitro 転写・翻訳系における遺伝子のON・OFF制御:カチオン性高分子であるポリリジン(PLL)を用いて、アニオン性であるプラスミドとポリイオンコンプレックスを作製し、転写を抑制させた状態のクロマチン構造を人工的に作製した。そのモデルに対し、合成高分子を作用させ、そのタンパク質発現量を評価することに遺伝子のon状態を確認した。さらに、ヒストンとプラスミドDNAからなる人工クロマチンも作製し、合成高分子の相互作用からタンパク質発現量を測定、その向上から合成高分子によるクロマチン構造の弛緩が示唆された。しかし、遺伝子offを確かめる実験は未だ確立できていないため、今後はその実験系を検討する。(II) Cell系in vitro 転写・翻訳系における遺伝子のON・OFF制御:細胞内のDNAメチル化とヒストン修飾の制御を目指した新規高分子キャリアを合成、そのキャリアによるエピジェネティクス制御を検討した。特に、ヒストン修飾に注目し、ヒストンアセチル化をウエスタンブロット法により解析、ヒストンアセチル化制御に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
人工クロマチンの形成に成功し、合成高分子によりクロマチン構造を任意に弛緩(遺伝子on)できることを初めて明らかにした。タンパク質発現量の増大を確認し、ヒストン修飾も確認できた。しかし、弛緩したクロマチン構造を人為的に形成させる実験系が未だ確立できていないため、合成高分子によるクロマチン構造の凝集による遺伝子offの検討は未だ行えていない。
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Strategy for Future Research Activity |
現在はcell freeの状態での評価であるため、本当に細胞内で合成高分子によりクロマチン構造を制御できるかは未だ証明できていない。今後は、細胞系で合成高分子によるクロマチン構造の制御を行い、さらにDNAメチル化(平成23年度は未確認)、ヒストン修飾の状態を詳細に解析する。特に、クロマチン構造を任意に制御できるようになれば生活習慣病等の後天性疾患に対する有効な治療法となるため、その可能性についても併せ検討を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
基本的には、消耗品と旅費のみである。
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Research Products
(2 results)