2011 Fiscal Year Research-status Report
光熱特性制御型デンドリマー-金ナノハイブリッドのワンポット作製と癌治療への展開
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23650293
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
河野 健司 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90215187)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ナノバイオ / デンドリマー / 金ナノ粒子 / 癌治療 |
Research Abstract |
第2 世代~第5世代のシスタミンをコア部とするジスルフィドコアデンドリマーの末端アミノ基にポリエチレングリコールモノメチルエーテルをウレタン結合で結合させてPEG修飾デンドリマーを合成した。金ナノロッドの作製プロセスにおいて、様々なタイミングでジスルフィドコア温度応答性デンドリマーを加え反応させることで、サイズの異なるPEGデンドリマー―金ナノロッドハイブリッドを作製した。ハイブリッド粒子のサイズを動的光散乱や透過型電子顕微鏡、原子間力顕微鏡を用いて調べ、約20-30nm程度の粒径を有することがわかった。。また、光吸収特性を、紫外可視近赤外分光光度計を用いて調べ、700-800nmの近赤外領域に吸収を示すことがわかった。さらに近赤外光レーザー(804nm)を用いてハイブリッド粒子の光発熱挙動を調べ、近赤外光照射下効果的に発熱することがわかった。さらに、PEG修飾デンドリマーのコア部のジスルフィド結合を還元剤によって解裂させることで、デンドロンとすることで、金ナノロッドへの結合性が高められ、PEGデンドロンによって効果的に安定化されたハイブリッドが得られることがわかった。、一方、オリゴエチレングリコール修飾デンドリマーの複合化についても検討した。このデンドリマー共存下で金ナノロッドを作製することで両者のハイブリッドが得られた。しかし、このハイブリッドは水中で凝集しやすく、コロイドとしての暗転性が乏しいことがわかった。これは、デンドロン表面のオリゴエチレン鎖の鎖長が短いため、十分なコロイド安定性を付与できなかったものと考えられる。この問題点は、金ナノロッドへのデンドロン結合数を増大することで解決できるものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シスタミンコアをもつデンドリマーやデンドロンと金ナノロッドの複合化の方法を確立することができた。また、この方法によって金ナノロッドのサイズの制御の可能性が示された。今後この方法を用いて、条件を検討することで、温度応答性ハイブリッドの作製を実現できるものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、以下の(1)(2)の課題に従って研究を進める。(1)温度応答性ナノハイブリッドの作製条件の最適化(2)温度応答性ナノハイブリッドの生体機能評価まず、温度応答性デンドリマーの複合化量を向上することで、安定でかつ温度応答を示すハイブリッドを作製する。デンドリマーの世代数を調節したり、表面のオリゴエチレングリコール鎖の鎖長を長くすることで、温度応答性ハイブリッドが得られるものと考えられる。次に、in vitro での機能評価を行う。HeLa 細胞などのヒト癌由来培養細胞に温度応答性ハイブリッドナノ粒子を加えて体温あるいはマイルド加温下インキュベートし、ナノ粒子の温度応答機能が細胞取込みの促進に及ぼす効果を調べ、また、ハイブリッドを取り込んだ細胞に近赤外光を照射することで光発熱による癌細胞殺傷効果を調べる。さらに、マウス大腸癌由来Colon26 を担癌したマウスを作製し、ナノハイブリッドを腫瘍部位に直接投与し、腫瘍部位に近赤外光を照射する。その後の腫瘍成長を追跡することで、近赤外光照射によるナノハイブリッドの腫瘍抑制効果を明らかにする。また、担癌マウスにナノハイブリッドを尾静脈から投与し、腫瘍部位をマイルド加温することで、ナノハイブリッドの疎水性化を利用した腫瘍部位への集積促進効果を調べる。さらに、マイルド加温によって腫瘍部位にナノハイブリッドを集積させた担癌マウスの標的腫瘍を近赤外光照射し、その後の腫瘍成長の経日変化を追跡する。そして、マイルド加温によるナノハイブリッドの腫瘍集積促進が、その光発熱による腫瘍成長抑制に及ぼす効果を評価する。このような実験を通して、効果的なフォトサーマルセラピーを実現するための、インテリジェントナノハイブリッドの開発を達成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
デンドリマー等の試薬、細胞実験用機材、in vivo実験用マウス等の購入、DDS学会、バイオマテリアル学会などの関連学会で発表するための旅費、論文作成関連費用、等に研究費を使用する。
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